「お前は誰だ!」新宿の飲み屋で「唐十郎」から一喝…アングラの女王「李麗仙」の歌声に大喝采 演劇界のレジェンド元夫婦の魅力

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「写真週刊誌が撮ったら面白い」

 しかし、話はこれで終わらない。

 後日、李さんと東京・代官山のイタリアンで食事をすることになった。食事後、「もう一軒」ということになって、行きつけにしていた近くのバーにもお連れした。そこは前面がガラス張りの造りで、カウンターから代官山の通りを眺めることができた。そんなオシャレな雰囲気の中で女王とグラスを傾けた。

 お開きになり、店を出て代官山から線路沿いを恵比寿駅に向かって歩いた。肩を並べながら、よもやま話の続きをしていると、女王がこう言った。

「こういうところを写真週刊誌が撮ってくれたらいいのにね」

「?」

「ハハハッ」と、意味もなく笑ったのだが……。写真を撮られる? 

 女王の真意は、撮られて話題になったら面白いということだったのだが、撮られたとしても記事になるかどうかは相手によるだろうし、もしそんなことになったら、ただただ申し訳ないだけである。

「アングラの女王」の意外な面というか、茶目っ気タップリだった笑顔を今も思い出す。

峯田淳/コラムニスト

デイリー新潮編集部

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