リハビリを経て球速、回転数がアップ… 大谷翔平の「驚愕の1年」を数字で振り返る 「打球速度もリーグ最高クラス」
ジャッジと大谷が突出
出塁率と長打率を合わせて総合的な打撃力を示す数値に「OPS」がある。これが0.9を超える選手は“超一流”とされており、
「今季の大谷は1.014とナ・リーグトップ。1を上回る選手は例年2~3人しかおらず、今季は他にア・リーグのジャッジ(ヤンキース)だけですが、大谷は3年連続して1.0を超えています」(広尾氏)
チームへの貢献度を示すこれらの数値は、むろん卓越した技術に裏打ちされている。実際に、
「今季の最高打球速度は120マイル(約193キロ)でメジャー3位。上位50本の平均値でも106.1マイル(約171キロ)で4位と、常に強い打球を放っているのが分かります。昨季平均は106.7マイル(約172キロ)と、ここ3年は常にベスト5入りしています」(同)
長打を生みやすい打球速度と角度を組み合わせた「バレルゾーン」は、例えば速度98マイル(約158キロ)で角度26~30度となる。速度が上がれば角度の範囲も広がり、並の打者なら外野フライとなる打球も、ホームランに化けていく。
「打席のうちバレルゾーンの打球を打った率では、14.1%のジャッジに次ぎ、大谷は13.8%でメジャー2位。14.1%の昨年と遜色ありません。ア・リーグで60本塁打を放ったマリナーズのローリーは11.3%、ナ・リーグ本塁打王のシュワバーも11.7%ですから、ジャッジと大谷が突出しているのが分かります」(同)
復帰後に球速がアップ
打者のみならず、投手としての数字にも目を見張るものがあるという。
「今季は14試合に登板し、打者188人に対して47回を投げました。とりわけ9月は、3試合14.2回を投げて失点、自責点ともゼロに抑えています」
とは、MLBアナリストの友成那智氏。
「どの球種を投げるべきかを試合ごとに試し、その“選定”が8月中に完了したのです。9月以降はフォーシーム、スイーパーに加え、カウントを整えたり打者の目線を外すために投げていたカーブを新たに勝負球として使うようになった。一方、これまで多投してきたスプリットの頻度が減っています。実際に今季、フォーシーム比率は38.6%、スイーパーとスライダーを合わせた34.1%に対し、スプリットはわずか4.7%にとどまっています」(同)
続けて、
「ストレートの今季平均球速は158.3キロ。23年の平均が155.8キロだったので、復帰後に球速がアップしたことになる。リハビリが順調に進められてきた証しでしょう」(同)
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