伝説の「10・9」から30年…新日本 vs UWFインター団体対抗戦を当事者の証言で振り返る

スポーツ

  • ブックマーク

「ムーンサルト? 避ければいい」(髙田延彦)

〈対して、髙田は比較的リラックスしていた。

 10月5日、IWGPヘビー級選手権となったメインの調印式では、「(新日本もUWFも経験してますが)どんなスタイルで行きますか?」という報道陣の問いかけに、「紫のタイツで行きます(笑)!」。先立つ10月2日のUインター事務所の会見では、武藤のムーンサルト対策を問われ、「避ければいい」とあっさり。続けて、「俺がトップロープに上がるのは、武藤をKOして勝どきを上げる時」と微笑むと、昨今のファンの反応についても語った。

「ベイダーとやる時は、『大丈夫ですか?』と声をかけられたけど、今回は、『負けるわけがない』『どう料理するんですか?』と言われるんだよね(笑)……」〉

 第8試合となったメインの二人だけでなく、全試合でリングに上がった選手たちの様々な思いが綴られている同書では、新日本プロレス企画宣伝部長(当時)として、数々のビッグマッチを仕掛けてきた永島勝司氏のこんなコメントも紹介されている。

「面白いカード編成? そんなの決まってるよ。お互い、嫌ってる者同士をやらせること」

 そこまでの過程が何よりも大変であることが改めてよくわかる。選手だけでなく、フロントスタッフの重要証言など、30周年の記念イヤーに相応しい、秘話満載の1冊だ。

瑞 佐富郎
プロレス&格闘技ライター。早稲田大学政治経済学部卒。フジテレビ「カルトQ~プロレス大会」の優勝を遠因に取材&執筆活動へ。近著に「プロレス発掘秘史」(宝島社)、「アントニオ猪木」(新潮新書)など。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 3 次へ

[3/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。