大ヒット「国宝」以外にも名作ぞろい「原作・吉田修一」映画 真木よう子、深津絵里、杉咲花らが輝いた必見の作品とは【秋の映画案内】
「怪演女優」松本まりかの真骨頂
〇「湖の女たち」(2024年)
本作は、琵琶湖のほとりにある介護施設で、100歳の老人が殺害されたことから始まる。若手刑事の濱中圭介(福士蒼汰)は、容疑者の1人である介護士の豊田佳代(松本まりか)を取り調べるうちに、彼女に対して歪んだ支配欲を抱き始める。佳代もその関係に抗うことなく身を委ね、2人はインモラルな関係に深く溺れていく。そこに事件の真相を追う週刊誌記者(福地桃子)の存在や、過去の薬害事件の闇が複雑に絡み合い、物語は衝撃的な結末へと向かう。
松本がブレイクしたきっかけは、2018年に放送されたテレビドラマ「ホリデイラブ~夫婦間恋愛~」(テレビ朝日系)。この作品で「あざとかわいい」と一躍脚光を浴びた。当時34歳でどちらかと言うと遅咲きだったが、その後の快進撃には目をみはる。
「湖の女たち」ではこれまでのイメージを覆す難役を演じきり、多くのメディアや批評家から「怪演」と絶賛された。内に秘めた闇や孤独、そして刑事との倒錯した関係性の中で見せる危うさは、観る者に強烈な印象を残す。
松本自身はインタビューで、「自分と向き合い続けて、壊れそうになったこともありました」と、その苦悩を吐露。大森立嗣監督から「頭では考えなくていいから、心で思った瞬間、思った言動をしてくれ」と言われたことで、その場で生まれる感情を大切に演じたと明かしている。この役への深い没入と覚悟が、圧巻の演技へと繋がったのだろう。
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