「麻生さんに引退する考えはなく、次の総選挙にも出馬する意向」 総裁選の知られざる舞台裏 「第2次麻生内閣の誕生」の声も

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【前後編の後編/前編からの続き】

 誰もが虚を突かれた高市早苗氏(64)の自民党総裁選勝利。党員票には強くとも議員票の広がりに欠け、勝利は至難とみられていた。その下馬評を覆したのが、麻生太郎氏(85)の策謀と暗躍。党の解体的出直しというかけ声いずこ。新政権を牛耳る“怪物”の実相とは。

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 前編【「小泉を担いでも、うま味がねえな」 麻生副総裁が最後に高市早苗氏を選んだ舞台裏 「小泉陣営には気の緩みが」】では、総裁選でウラから影響力を行使した麻生太郎副総裁が「高市支持」に回った理由などについて報じた。

 麻生氏はかねて、亡き鈴木善幸元首相の長男で、自身の義弟にあたる鈴木俊一元財務相(72)に派閥を継承させる意向だとされる。高市氏はその麻生氏の望み通り鈴木氏を新幹事長に起用。

 さらに麻生派の有村治子元女性活躍担当相(55)を総務会長に据えた。こうして党四役の半分を麻生派が占めた中、決選で高市支持に回った小林鷹之氏(50)は政調会長に、裏金問題でしばらく表舞台から退いていた萩生田光一元政調会長(62)は、旧安倍派の中軸として当初から高市支援に励んでいた功績から幹事長代行に就任した。茂木敏充氏(70)は外相就任が内定している。

“第2次麻生内閣”

 来たる首班指名で女性初の首相となることが確実視される高市氏。

「高市政権は麻生氏、萩生田氏、茂木氏が軸として支えることになります。麻生派、旧安倍派、旧茂木派の三派政権というわけです。麻生氏自身もまた、菅氏の後任として党副総裁に返り咲いた。麻生氏が陰から高市氏を操る“第2次麻生内閣”の誕生だと言っていいでしょう」(政治部記者)

 麻生氏は先月20日、85歳の誕生日を迎えたばかり。

「引退する考えはまだなく、次の総選挙にも出馬する意向のようです」(同)

 老いて権謀術数の秘策を尽くし、ますます権力に固執する。その姿は、もはや“政界の怪物”と呼ぶにふさわしかろう。

「衆参共に自公で過半数を割る高市政権の喫緊の課題の一つは連立交渉です。その交渉役としても麻生氏の存在感は増しています。麻生氏は国民民主党の支持母体である『連合』傘下の4産業別労働組合を取り込み、選挙でその組織力を利用したいとのもくろみを抱いている。岸田政権時代から麻生氏は、当時幹事長だった茂木氏と共に国民民主党との連立を画策してきたことで知られます」(同)

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