ファストファッション全盛でハイブランドはどうなるか アパレル大手「三陽商会」社長が“物価高”でも「出番が増える」と語る理由

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「マッキントッシュ ロンドン」「ポール・スチュアート」、そして「バーバリー」……。名だたるブランドを展開してきたアパレル大手の「三陽商会」。看板ブランドのライセンス契約終了に伴って売上と利益の大半を失い、赤字転落後に社長に就任したのが大江伸治氏だ。徹底した業務効率化により黒字転換を達成した大江社長は、ゴールドウイン、三陽商会と相次いでアパレル企業を立て直してきた敏腕経営者。その経営手腕の秘密を大江社長が明かした。

※本稿は「週刊新潮」2025年10月9日号【経済アナリスト森永康平のビジネスリーダーにドロップキック!】の対談記事を再編集したものです。

「三陽商会」はかつて英国の名門ブランド「バーバリー」とライセンス契約を結び、2015年に契約終了。これにより、一時経営難に陥っている。

「バーバリーを導入したのは1970年のことです。40年以上にわたって三陽商会の旗艦ブランドとして、売上の大半と利益のほとんどを担っていました。それが2015年に契約が切れたことで、屋台骨がなくなってしまいました」

 そう語るのは2020年より三陽商会で社長を務める大江伸治氏だ。”屋台骨”をなくした三陽商会は1000億円規模だった売上を大きく減じ、利益の大半を失った。以降、収益の保全策を打つがなかなか奏功せず、契約終了以降、5期連続の赤字に終わった。

 大江社長は立て直しが上手くいかなかった理由をこう分析する。

「なぜ上手くいかなかったのかというと、やはり従業員みんながバーバリー時代の栄光を知っていたからなんですよね。だから一定の需要規模にこだわって、代替ブランドの『マッキントッシュ ロンドン』などを導入した」

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