寄付した「総額20万円超の高級VRグラス」「日本製工作機械」が放置され… JICAのエチオピア支援のひど過ぎる”実態
利用率は月3~5%
KECは2023年10月にオープンしたが、完成に先立ち、当時外相だった林芳正官房長官が、わざわざ視察に訪れるほどだった。
「KECはパソコンが常設された研修室、会議室などの他に宿泊棟や食堂まで完備され、施設内のオフィス什器などの大半は日本から輸入した新品でそろえられています。にもかかわらず、完成から2年もたたずして、エチオピアに住む日本人の間では“KECはひどい”と言われる有様です」(前出のJICA関係者)
いったい何が“ひどい”のだろうか。
「KECの前身となる研修施設は、17年時点での受講者が年間2万8593人でした。それを日本側の計画では完成から3年後までに年間約5万人、ほぼ倍増させると意気込み、アフリカ全土から研修者を集める予定で計画された。ところが、ふたを開ければ利用状況は惨憺(さんたん)たるもの。現地スタッフによれば、月間利用者は1200~1300人。それだけ聞くと少なくないように思えますが、研修棟の定員から計算すると、利用率は月3~5%に過ぎないそうです」(同)
その数字でさえ、エチオピア政府関係者が内輪の会議で利用したモノまでを計上して、何とか積み上げた結果らしい。
「会議室は1部屋で最大200人ほどは入るので、単純計算で月に5回使われたら1000人前後が利用した計算になってしまう。会議も現地の人々への研修ではなく、エチオピアの省庁内での会合などに使われることが多いのが実態です」(同)
総額20万円超の高級VRグラス
さる大手商社の駐在員に言わせれば、
「民間企業が運営する施設なら1桁台の利用率は完全にアウトです。巨額の税金が投入された事業ですから、費用対効果を検証しないなどあり得ない。来年には事業終了から3年がたつ。それを機にJICAも事後評価を行う予定とはいえ、とても目標の5万人には程遠い利用実績。こんな大金を投じているのに、やりっ放しでいいのでしょうか」
JICAの“やりっ放し”はコレにとどまらない。
「JICAは日本企業を通じて、エチオピア観光省にバーチャル・リアリティー(VR)の映像を視聴できるグラスを寄付したそうですが、有効に利用されているとはいえません」
とは、現地のプロジェクト関係者。
「昨年12月ごろ、三つのVRグラスが少なくとも日本円で総額約20万円超で購入され、エチオピア側に引き渡されたそうです。ちなみに、観光省の一般職員の月給は多くても日本円で約7500円程度なので、VRグラスの値段は、その2年強の給与に相当します」(同)
現地からすれば「超」がいくらついてもおかしくない高級VRグラスとは、いったいどんな代物なのか。
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