後輩を「呼び捨て」は論外、固定電話が鳴ったら先輩社員が取る…ベテランが若手の顔色をうかがう時代が到来した“当然すぎる理由”

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 ここ最近、40~50代のベテラン会社員と飲むと、昔ながらの定番の愚痴というか困惑の話を聞く。それは「近頃の若者は……」である。ただ、これまでの愚痴や困惑とは若干テイストが異なっているのだ。

 これまで中高年は散々「新人類」「ゆとり世代」「白け世代」などと若者にレッテルを貼ってきた。また、毎年のように「今年の新入社員は〇〇型」のような分析結果も発表される。【中川淳一郎/ネットニュース編集者】

「金の卵」を失いたくない

「ルンバ型」「奇跡の一本松型」「AIチャットボットタイプ」「二刀流タイプ」など、要するにその前年度に流行ったものを強引に当てはめているようにも見える。だが、毎度若者に対し、「今の若者は同じ人間とは思えない」という感想が出るのだ。そうした定型句的なものから今は進化し、先日の40~50代との飲み会ではこう言われた。

「最近はオレら世代が若者に忖度するんですよね…」

「そう、彼らの顔色をうかがって仕事をしているんです…」

 一人の社員が同じ会社に勤める年数はアメリカの3.9年に対して日本が12.4年、と指摘する記事を立て続けに目にした。雇用の流動性を高めることが活力を生む、といった論は昔からあるものの、会社としては売り手市場の中せっかく採用した若者を失いたくない。だから若者に忖度し、顔色をうかがうようになっているのだという。

 人材サービス業のキャリタス社による「新卒採用マーケットの分析 2025年卒 就職・採用戦線総括」には、様々な項目があるが、「若者への忖度」が感じられる項目を紹介する。

「企業の採用意欲は引き続き旺盛」「エントリー、応募者の減少が深刻」「選社理由は『給与・待遇』序盤から最終決定まで」「売り手市場だと感じる割合がさらに増加」「内定辞退の増加傾向続く」「内定承諾後の辞退 4人に1人が経験」「待遇や働き方の改善も進む」

 新卒の月給が30万を超えたという話も聞こえてきているが、企業としては「金の卵」をなんとしても失いたくないのであろう。それがベテラン社員の若者への接し方に繋がっているのだと彼らは言う。

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