「浜田雅功さんも“俳句なんてつまんねー”と思っていたはず」 56歳でブレイクした夏井先生が明かす、俳句に捧げた人生
「浜田さんも“俳句なんてつまんねー”と思っていたはず」
その後も夏井さんは句会ライブに情熱を注ぎ、メディアにも数多く出演するなど活動のギアを上げていく。すると13年、「プレバト!!」からお声がかかる。
「バラエティー番組ですから、広範囲に俳句の種がまけるとお引き受けしたんです。当初は単発の依頼でした。たぶん司会のダウンタウン・浜田(雅功)さんも“俳句なんて絶対につまんねー”と思っていたはずですよ。でもやってみたら、着物を着たおばちゃんが、ダメなものはダメ!という。浜田さんは“俳句、おもろ!”と机を何度もたたいて笑っていました」
番組プロデューサーは「この添削は見せ場になる!」と興奮。収録が終わった直後、夏井さんはスケジュールを押さえられ、レギュラー化も決まった。
大御所からも反応が。
「兜太先生には『夏井君、あんな下手くそなもん、直さなくていいよ』と苦笑いされました。でも手直しする過程が俳句のメカニズムの勉強になるため、自分が一番得しているかもしれないんです。杏子先生も入院中に“病院のおじいさん、おばあさん、みんな『プレバト!!』見てるのよ”と激励してくださいました」
「俳句を始めると、退屈ということがなくなる」
18年には「放送文化基金賞(個人・グループ部門)」を受賞。「全国的な俳句ブームをけん引した」ことが評価され、俳句の種まきを続けた身としては本懐だっただろう。こうした賞もさることながら、とりわけうれしいのは、にわかに広まった俳句が“生きるつえ”になったという人々から届く話だそうだ。負の感情を俳句に吐き出して楽になったり、妻に先立たれ失意のどん底だった時に俳句に出会い、仲間が増えて立ち直ったり。
「俳句を始めると、見聞きする世界も、人付き合いも広がるのです。退屈ということがなくなります」
夏井さんは、俳人の中原道夫さんのこんな言葉にも勇気づけられたと話す。
「夏井さんは自分のポジショニングを早く決めたことがよかった。(正岡)子規や(高浜)虚子を生んだ松山を拠点にし、若い人に俳句の種をまいたから」
俳句をブームで終わらせてはならじと、夏井さんはいまも松山に居を構え、全国を旅して俳句の種まきを続けている。
第2回【61歳で紅白初出場の歌手・秋元順子さんが明かす「奇跡を起こせた理由」 結婚、子育てを機に歌手活動を封印した過去】では、61歳で紅白歌合戦に初出場し、紅組初出場歌手最年長記録を更新した、歌手の秋元順子さんに「奇跡を起こせた理由」や波乱万丈な半生について明かしてもらっている。
[3/3ページ]


