ディズニーは車椅子、体育見学で「なんで?」と言われ… 21歳女優が生きる“片耳難聴”の知られざる日常

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「ゲーマー」としての工夫

――まだわからない点も多いのですね。坂上さんはゲーマーで、YouTubeでゲーム配信もされています。その中でFPSゲームは片耳難聴だと難しい面があると聞いて、なるほどと思いました。

坂上:FPSは耳で相手が近づいているかを知る必要があるので難しいですね。なので私の場合、聞こえない左耳側は勘です。あと左で音がするとヘッドホンが震えるようにしています。そうすると震えることで「あっ、左から来ているな」とわかるので。

 ただ「エーペックス・レジェンズ」というゲームはすごく広いマップで戦うので、規則性がないといいますか、どこから敵が来るかわからないのでちょっと苦手なんです。けれど私がやっている「VALORANT」は5対5で比較的小さめのフィールドで戦うので、「絶対にこの方向からは敵は来ない」とわかりやすくて、そちらを好んでやっています。

あと4年で両耳が…?補聴器の可能性

――現在、耳の状態はどうなんですか。

坂上:実は1年前に異変を感じて病院にいったら、右の耳も3分の2くらいしか聞こえてないと診断されました。平衡感覚に問題がないくらいわずかですけど、徐々に悪化していたみたいです。もし今後も止まらないようであれば、あと4年くらいで両方の聴力がなくなってしまうかもしれないと言われました。

 私は難聴の情報を発信していらっしゃるYouTuberの「難聴うさぎ」さんと仲良くさせていただいているんですが、先日、うさぎさんが使っている補聴器を貸していただいたんです。もともと私が受診してる病院では「絶対にあなたは補聴器は使えない」と言われていたんですけれど、うさぎさんの補聴器では聞こえたので、万が一聞こえなくなっても、補聴器は使えるんじゃないかとい考えていますし、国立病院でもう一度診断を受けようと思っています。

――補聴器でいえば、YouTubeで紹介されていた「nezu」についても驚きました。骨伝導を使って音を伝える器具で、デザインもネッククーラーのようなデザイン性も高いです。

坂上:「nezu」は補聴器ではなくて、骨伝導集音器で、医療器具には認定されていないものなんです。鼓膜がない方は聞こえないんですけど、それ以外の方でしたら音が聞こえるというものです。医療的に認められてないからこそコストをすごく低く作ることができるんです。補聴器って片耳30万~40万円くらいするんです。「nezu」は9万円くらいなんです。

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