「悪役」と「素朴」の強烈なギャップ バラエティで引っ張りだこ「上谷沙弥」は女子プロレスの救世主か

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人気番組に出演

「令和の極悪女王」と呼ばれる悪役女子プロレスラーの上谷沙弥が、いまバラエティ番組の世界で強い存在感を放っている。「千鳥の鬼レンチャン」(フジテレビ系)や「ラヴィット!」(TBS系)といった人気番組に出演し、プロレスファン以外の幅広い層からも注目を集めている。リング上では冷酷で傲慢な悪役を演じて観客を挑発する一方、番組では素朴で親しみやすい一面を見せ、強烈なギャップによって視聴者の心をつかんでいる。【ラリー遠田/お笑い評論家】

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 9月26日放送の「ラヴィット!」では、彼女のキャリアにおいて特筆すべき瞬間が訪れた。地上波テレビでは23年ぶり、TBSに至っては実に51年ぶりとなる女子プロレスの生中継が実現し、上谷が番組内で特設リングに立ったのだ。試合では同じスターダム所属の羽南と対戦し、圧倒的な存在感で勝利を収めた。

 試合後のコメントでは、ヒールキャラとしての強気な態度を見せながらも「夢をかなえる瞬間を見届けてもらって本当に幸せです」と涙ながらに語り、悪役のイメージとは正反対の純粋な感情をあらわにした。こうした振れ幅の大きさがプロレスを知らない層にとっても鮮烈な印象を残した。上谷はこの日をもって金曜シーズンレギュラーを卒業することになり、MCの川島明から「3か月間、上谷沙弥さんお疲れさまでした」とねぎらいの言葉をかけられていた。彼女がバラエティの世界でここまで重宝されているのはなぜなのか。

 上谷が注目されるきっかけとなったのは、2月23日に放送された「千鳥の鬼レンチャン」だ。上谷は「女子300m走サバイバル」に出場していた。5分間の休憩だけを挟んで300m走を連続して行い、最下位だけが脱落していく過酷な競技である。ここで上谷は持ち前の根性を発揮して、決勝に残る健闘を見せた。

 レース前の取材では、女子プロレスを見てもらえるきっかけを作るために番組に出ることにした、という熱い思いを涙ながらに語っていた。レース終了後は、優勝できなかった悔しさのあまり号泣していた。悪役レスラーとは思えないピュアな一面をさらけ出したことで、大反響を巻き起こした。彼女のSNSアカウントのフォロワーも急増した。

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