なぜ今、「行列のできる相談所」が復活? 「明石家さんま」に司会を託した日テレの狙い

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 レギュラー放送が終了した「行列のできる相談所」(日本テレビ系)が、明石家さんま司会の特番として9月26日に放送されることになった。日本テレビがかつての人気番組を今あえて復活させる狙いは何なのか。そこにはいくつかの理由が考えられる。【ラリー遠田/お笑い評論家】

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 第一に、日本テレビがこの番組を復活させる最大の狙いは「ブランド力の再利用」である。ゴールデンタイムで長く放送されていた「行列」という番組は、一定のブランドイメージが定着している。レギュラー放送終了からまだ時間が経っていないこともあり、多くの視聴者にはその記憶が新鮮に残っている。

 特番として新しい番組をゼロから企画するよりも、かつての人気番組を呼び戻す方が話題性を確保しやすく、手堅い視聴率や広告効果を見込める。SNSを中心に「懐かしい」「また見たい」という声が広がれば、それ自体が大きな宣伝となり、事前の注目度を高める効果が期待できる。

 第二に、MCとして明石家さんまを起用したことが大きな意味を持っている。番組が始まった当初にMCを務めていたのは島田紳助だった。紳助は切れ味鋭くテンポの良いトークで場を盛り上げることを得意としていた。

 彼が芸能界を引退してからは、東野幸治、宮迫博之、後藤輝基が交代でMCを担当するようになった。ただ、それとは別に、特番として放送される際には、明石家さんまが司会として登場するのが通例となっていた。さんまはいまだに「踊る!さんま御殿!!」などの人気番組を手がけるお笑い界のレジェンドであり、彼が出てくるだけで番組の格が上がる。

 どんな企画であっても、どんな出演者が出てきても、さんまの仕切りであれば現場の熱が落ちることはなく、必ず笑いに結びつけることができるという安心感がある。「行列」はもともと法律番組だったが、徐々に方向性が変わり、何でもありのトークバラエティになっていた。自由度の高いその構造で番組を成立させるためには、圧倒的なトーク力を持つMCが必要である。この復活特番でも、MCを任せられるのはさんましかいないと制作陣は判断したのだろう。

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