「大沢たかお祭り」はエンタメか、集団的悪ノリか 上戸彩は「イラッ」…本人は意外な反応

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「遊び」が発展

 SNSという場は、誰もが発信者になれるがゆえに、予想もしない方向に「遊び」が発展していくことがある。あるユーザーの投稿がウケると、すぐに別の人が真似をし、そこに新しい要素を加えることで、いつの間にかひとつの大きな「祭り」へと膨らんでいく。こうした現象は、ネット文化の面白さであると同時に、倫理や権利の観点からはしばしば議論の的になる。【ラリー遠田/お笑い評論家】

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 その象徴的な事例として、今年の春頃に広まった「大沢たかお祭り」がある。これは、映画「キングダム」で大沢たかおが演じた王騎将軍の画像を用い、そこに家事や育児の「あるあるネタ」を添えるというものだ。

 王騎は中国・秦の武将であり、強靭な体格と豪胆さを持ち、戦場では威風堂々とした姿を見せるキャラクターだが、一方で豊かな表情やユーモラスな側面も併せ持つ。その二面性が、日常生活に疲れた母親たちのリアルなつぶやきと絶妙に噛み合い、投稿を目にした多くの人の共感を呼んだ。

 ある人の小さなアイデアが、瞬く間に共感の輪を広げ、遊びとしての拡散力を発揮した。こうした一連の盛り上がりが「大沢たかお祭り」と呼ばれ、多くの人を巻き込んでいったのだ。

 やがてブームは落ち着きを見せたが、9月14日放送の「ボクらの時代」(フジテレビ系)でこの話題が取り上げられ、再び注目が集まった。番組には大沢たかお、上戸彩、映画プロデューサーの松橋真三が出演し、その鼎談の中で上戸が「大沢たかお祭り」をどう思ったかと本人に尋ねたのだ。

 上戸は率直に、「あれが流行ったとき、私は大沢さんを知っているので、ちょっとイラッとしたんです」と語った。自分のよく知る俳優仲間の写真が、本人の意志とは無関係に「ネタ」として消費されることに抵抗を覚えたのだろう。俳優にとって自分の出演シーンは、作品や役柄の文脈の中で輝くべきものであり、そこから切り離されて弄ばれるのは、違和感が残る行為だ。

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