「最高時速320キロ」の新幹線で「荷物を運ぶ」サービスに熱視線が注がれる理由 “圧倒的なスピード感”“渋滞に巻き込まれない”だけではないメリットとは

ビジネス

  • ブックマーク

リニアと新幹線の関係

「“荷物専用新幹線”の実現に最も力を入れているのはJR東日本です。毎週金曜に新青森駅から東京駅に向かう東北新幹線の臨時列車・はやぶさ50号は1号車と2号車が4月から荷物専用車両になっています。さらに将来的には山形新幹線用のE3車両を荷物専用新幹線に改造し、大量輸送を実現する計画です。一方、今すぐの実現は難しいと考えているのはJR東海です。東海道新幹線は運行頻度が高く、ホームが乗客で混雑することも珍しくありません。荷物用車両を製造するだけでなく、荷物を積み下ろすためホームを改装する必要もあります。しかも、それだけ投資して環境を整備したとしても、極めて限られた停車時間で荷物の積み下ろしを行うのは無理という判断です」(同・記者)

 鉄道に詳しいジャーナリストの河嶌太郎氏は「航空便のライバルとして、新幹線による荷物の輸送は今後、ますます利用されるのではないでしょうか」と言う。

「大前提として日本は少子化が進んでいます。インバウンドによる新幹線の利用増は期待できるとはいえ、基本的に新幹線を利用する乗客の数は減っていくと考えるべきです。一方、新幹線のスピードは航空便と競合できる実力を持っていますし、物流業界ではドライバー不足が深刻化するため、今後もニーズは増え続けると予想されます。JR5社は新幹線による荷物輸送にどんどん注力することになるはずです。さらに東海道新幹線で言えば、リニア中央新幹線の開通が影響を与える可能性があります。東京・名古屋間、東京・新大阪間で乗客輸送がリニアにシフトすれば、東海道新幹線には今よりも余裕が生まれることが期待できます。日本の大動脈である東海道新幹線でも荷物輸送が本格化すれば、大きな経済効果をもたらすのは間違いありません」

 第2回【ニーズが増え続ける「新幹線による荷物輸送」の背景 JR北海道、JR東日本、JR東海、JR西日本、JR九州に取り組みを尋ねると…【5社の回答全文を紹介】】では、JR5社の回答を全文、ご紹介する。

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。