超有名選手が「すごいものを見た」と唖然…“ゴルフ界の隠れたお宝”を突然持参した米国の収集家 長年隠し持ち続けた理由とは

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友人からカードを譲り受けて30年

 聞けば、キャリアグランドスラムを最初に達成(1935年)したサラゼン、ホーガン(1953年達成)、プレーヤー(1965年達成)のサインを得たのは、レイモンド氏ではないそうだ。

「最初の3人のサインは、以前、メモラビリア・ビジネスをしていた友人がゲットしたものですが、その友人が仕事から引退する際、1500ドル(現在のレートで約22万円)で買い取らないかと持ち掛けられ、購入しました。私はその後、ニクラスからサインをもらいましたが、タイガーからサインをもらうのには、とても苦労しました」

 メモラビリアとは、スポーツ選手や著名人の記念品や思い出の品などのことで、本人が愛用したものや直筆サインが入れられたものなどは一気に価値が上がるとされている。

 こうしたメモラビリアを集めて販売する商売はメモラビリア・ビジネスと呼ばれているが、レイモンド氏はビジネスではなく、趣味的に集めているメモラビリア・コレクター。このスコアカードを友人から引き継いで以来、今年で30年になるという。

 ウッズがグランドスラマーになった2000年以降、レイモンド氏はウッズが出場する試合会場やイベント会場などに通っては、根気強くサインを求め続けた。そして、ようやく得たウッズのサインは、スコアカードの右半分の真ん中に大きく入れられている。

ウッズがサインをしなかった理由

 ウッズがなかなかサインをしなかった背景には、ゴルフ界のある実情があった。

 1990年代終盤から2000年代にかけて、米ゴルフ界では「マスターズのロゴが入ったフラッグやボールを差し出されたら、絶対にサインをするな」というお触れが選手の間で広められていた。

 有名選手のサインが施されたマスターズ・グッズは高値で売られていたが、試合会場でサインをもらっていたのは、そうしたビジネスを行う大人たちに雇われた子どもだったことが判明したからだ。

 お金儲けのために、ピュアな子どもと選手のサインを利用する悪しきビジネスを阻止すべしということで、選手たちはマスターズ・グッズへのサインを拒むようになった。

 スーパースターのウッズは、そもそもサインに応じることが極端に少なかったが、差し出されたものがマスターズ・グッズとなれば、問答無用でサインを拒否していた。

 そんな事情の下で、オーガスタ・ナショナルのスコアカードにウッズからサインをもらうことが、並大抵ではなかったことは想像に難くない。

 だからこそ、ウッズを含めたグランドスラマー5名のサインが勢揃いしていた「すごいもの」を見せられて、マキロイは驚き、彼自身もサインをすることに快諾したのだと思う。

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