コメディでも純愛ドラマでも冴えわたる「松たか子」の演技力 今年の映画賞で「主演女優賞」総なめと囁かれる納得の理由

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主演ドラマも高評価

 テレビ朝日系の連続ドラマ「しあわせな結婚」の最終回が11日に放送され、平均世帯視聴率は8.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同)を記録した。阿部サダヲ(55)演じる弁護士・原田幸太郎と、その妻・ネルラを演じる松たか子(48)を中心に描かれるヒューマンサスペンス。脚本家・大石静氏によるオリジナル脚本だった。

「松さんが演じたネルラは“人たらし”のようなキャラクターで、阿部さんが演じた弁護士はそのキャラに翻弄され、結婚を決意してしまう。そして結婚するや、ネルラの過去とその家族が原因で、とんでもない騒動に巻き込まれることに。いろんな意味で結婚について考えさせられるドラマでした」(放送担当記者)

 ともに演技派として知られる阿部と松。同ドラマでは2人の持ち味を生かして存分に演技力が発揮された。

「2人とも感情の起伏を表現する能力が非常に高い。会話劇である本作は、スキルが高い役者が演じると視聴者にとって心地いいものになる一方、あまりうまくない役者がやるとグダグダになりかねない。テレ朝にとって、これ以上ないキャスティングでした。食事のシーンが多く、そこで繰り広げられる会話で夫妻やその家族を取り巻く状況が良く分かりますが、ネルラの家族役も段田安則さん(68)、岡部たかしさん(53)ら演技派。最終回、離婚届を出す前にも幸太郎とネルラが当たり前のように食卓を囲み、さらに、ネルラの奔放な寝相としなやかな生き方を見ている幸太郎が最終回で、『君は股関節の女』と言い放つなど、なかなか画期的なドラマでした」(同前)

 そんな松だが、演技の巧さは映画でも高評価を得ている。今年2月7日に公開された主演の恋愛映画「ファーストキス 1ST KISS」は、興行収入28億円を突破するヒット作となった。

 松が主演し話題になったTBS系ドラマ「カルテット」(17年)や、映画「花束みたいな恋をした」(21年)「怪物」(23年)の脚本家、坂元裕二氏と、映画「ラストマイル」(24年)「わたしの幸せな結婚」(23年)の監督、塚原あゆ子氏が初タッグを組んだオリジナル作品である。

 松が演じた主人公・カンナは、結婚して15年になる松村北斗(SixTONES・30)演じる夫の駈を、事故で亡くしてしまった。夫とはかなり前から倦怠期が続いており、不仲なまま。しかし、第二の人生を歩もうとしていた矢先、タイムトラベルする手段を得たカンナは過去に戻り、自分と出会う直前の駈と再会する。駈のことが好きだったと気づき、もう一度恋に落ちたカンナは、15年後に起こる事故から彼を救うことを決意し奔走する――。

「松さんは、松村さんの事務所の先輩である木村拓哉さん(52)と、フジテレビ系のヒットドラマ『ラブジェネレーション』『HERO』で名コンビぶりを見せていました。それだけに、松村さんに多少、気負いはあったかもしれませんが、絶妙な掛け合いを見せています。そんな松村さんを引っ張るように松さんの芝居も冴え渡ります。すでに夫が亡くなった現代パートでは1人で芝居するシーンが多いものの、夫の未来を変えるため知恵を振り絞り切るところから、夫への深い愛情が観る側に伝わってきます。松さんのハマり役でした」(映画業界関係者)

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