デビュー16年目「有村架純」が映画界の大黒柱に 抜群の演技力とノンスキャンダル
泣かせる存在
最近の有村の出演するヒューマンストーリーは、映画館内が嗚咽に包まれてしまうものが目立つ。今度は「泣かせの女王」と称するのに相応しい存在になっている。
涙を誘う有村作品の代表格は、4月に公開された「花まんま」。鈴木亮平(42)とダブル主演した。2人は大阪で暮らす3歳違いの兄妹に扮した。
鈴木が演じた兄は加藤俊樹(幼少期・田村塁希)。有村が扮した妹はフミ子(幼少期・小野美音)。2人は特別な絆で結ばれていた。
幼いころにトラック運転手の父親・恭兵(板橋駿谷)が事故で亡くなり、母親・ゆうこ(安藤玉恵)も俊樹が高校生のときに病死したからだ。俊樹は迷うことなく高校を中退。町工場に勤め、フミ子を懸命に育てた。
兄妹には秘密があった。フミ子は4歳のとき、激しく嘔吐した。それを境に言葉が大人びてしまう。習っていない漢字も書けるようになる。
やがてフミ子は俊樹に滋賀県彦根市に連れて行ってくれとせがむ。「兄やん、一生のお願いや」。俊樹は渋ったが、フミ子が泣きそうな顔で頼むので、やむなく引き受けた。2人はゆうこにお弁当をつくってもらい、電車で出掛けた。
彦根はフミ子にとって初めての土地だった。ところが道を知っており、ある家に辿り着く。フミ子の前世はこの家の2女・繁田喜代美(南琴奈)だったのだ。
喜代美はバスガイドをしていたものの、自分の結婚式を2日後に控えた27年前、無差別殺人事件の被害者となる。家族とのお別れも出来なかった。その心残りからか喜代美はフミ子になって生まれ変わった。
繁田家に着いたフミ子は喜代美の父親・仁と会いたがったものの、俊樹は頑として許さない。フミ子はあくまで自分たちの家族であるという思いが強かったからだ。
だが、仁側は喜代美の生まれ変わりであるフミ子が自分に会いに来てくれたことに気づく。フミ子が俊樹を通じて渡した弁当箱の中身が、花まんまだったからだ。
ご飯やおかずの代わりに花でこしらえたお弁当である。喜代美は幼いころ、花まんまをつくって遊ぶのが大好きだった。フミ子がつくった花まんまの特色は喜代美のものと同じだった。
有村の演技力が発揮されるのはこれから。大学職員になったフミ子は同じ大学の助教・中沢太郎(鈴鹿央士)との結婚が決まる。それをフミ子は繁田家に報告する。俊樹には黙っていたが、フミ子は繁田家との文通をずっと続けていたのだ。
フミ子は繁田家を結婚式に招く。喜代美に式を挙げさせることが出来なかった繁田家の無念を晴らしてあげようと考えた。俊樹が繁田家の出席を許すはずがないが、覚悟を決めていた。
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