“ホームラン量産”で話題を独占した「新型バット」 国内向けに販売開始「ミズノ」担当者が明かす“これまでのバットでは味わえない魅力”
今季も佳境に差し掛かったプロ野球では、上位進出を懸けた熱戦が日々繰り広げられているが、春先から話題を席巻した「トルピード型バット(魚雷型バット)」を抜きにして、2025年の野球界を語ることはできないだろう。
MLBで「長打が出やすい」と注目を集めた新型バットは、程なく日本球界でも使用が認められ、一躍注目の的に。従来よりも芯が太くヘッドが細く絞られた特徴あるフォルムや、キャッチーな名称の影響もあり、瞬く間にその存在が知れ渡った。
【写真】空前の大人気…新型バットを手に「人気の理由は振り抜きやすさです」と語るミズノ・安河内氏
NPBの公式球なども手がける大手スポーツメーカーのミズノ)は、日本球界で正式に使用が認められたタイミングで商品の開発を始め、今夏には国内のスポーツメーカーにとしていち早く「トルピード型バット」の発売に至った。
東京・神保町にあるフラッグシップショップ「MIZUNO TOKYO」で、野球用品売り場の安河内雅史氏に、「トルピード型バット」の売り上げやユーザーからの反響について伺った。【取材・文=白鳥純一】
「長打が打てる」と日米で話題に
「トルピード型バット」が世に知れ渡ったのは、アメリカMLBのニューヨーク・ヤンキースの打撃陣が開幕3試合で15本塁打を放ち、メジャー記録に並んだ今年春に遡る。
元ヤンキースのアナリストで、今季はフロリダ・マーリンズのコーディネーターを務めるアーロン・リーンハート氏により開発された新型バットは「長打が打てる」と一目置かれると、すぐさま日本球界でも議論に挙げられた。
4月11日にNPBプロ規則委員会の承認が得られると、同月18日には源田壮亮選手(埼玉西武)が実戦で初めて使用。それを皮切りに、同バットでNPB初本塁打を放った木下拓哉選手(中日)や、大山悠輔選手(阪神)らも導入に踏み切り、その活躍が多くのメディアで取り上げられた。
この流れを受けミズノは、日本プロ野球がバットの使用解禁に踏み切ったタイミングで、いち早く「トルピード型バット」の開発に着手。
同社と契約を結ぶ各選手の意見を取り入れながら制作を進め、7月には形状が異なる3種類で長さがそれぞれ83、84、85cmのバットの発売に至った。
木製バットとしてスタンダードな形状である「TN型」を採用したミズノ製のトルピードバットはメイプル製で、硬めでしなりも少なく、打球の手応えを感じやすい仕様となっている。
現在ミズノの「トルピード型バット」は、同社の直営店とオンラインサイトのみの取り扱いで、価格も2万6400円(税込み)と決して安くはないものの、ユーザーの反響は上々とのこと。
「野球に取り組んでいる高校生や大学生に加えて、日本を訪れた外国人観光客の方が売り場で足を止め、購入されていくケースも目立ちました。注目度の高さもあって、試し打ちをされる方も多く、発売して間もない頃には、バットが入荷されるとすぐに売り切れてしまう状況がしばらく続きました」(安河内氏)
発売して2ヶ月間にMIZUNO TOKYOだけで約40本を売り上げたほか、オンラインでも堅調な売り上げを記録しているそうだ。
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