NHKの終戦80年ドラマで「祖父の人格をゆがめられた」 孫が怒りの告発 「温厚だった祖父がまるで悪役かのように描かれ…」
「一向に音沙汰なし」
ドラマの放送後、飯村氏は番組担当者と2回にわたり話し合ったが、納得のいく説明は得られなかった。そこで謝罪や訂正を求めるとともに、BPO(放送倫理・番組向上機構)への申し立てを考えていることを伝えるため、NHK上層部への連絡を試みたのだという。
「まず井上樹彦(たつひこ)副会長の秘書室に電話すると“今はいない”とか“取り込んでいる”とはぐらかされ、折り返すと言われたままいまだに返答がありません。その次に小池英夫専務理事のメールアドレスを入手し丁寧な文面で話し合いを要請すると“担当部門のトップに対応させます”とだけあり、その方からは一向に音沙汰なしというありさまなのです」
井上副会長と小池専務理事といえば、次期会長の席を巡り出世レースを展開しているとされる二人。そんな重役たちにも、矢面に立つ気概が全く見られないというのだ。業を煮やした飯村氏は8月26日の記者会見で、自らの立場を訴えた。
「このような歴史の捏造と人権侵害に対し、黙っているわけにはいきません。弁護士に連絡し、BPOのために準備も進めている。NHKが真摯な対応を取ることを祈っています」
「フィクションだったという構図は伝わりにくい」
ドキュメンタリー制作に携わった経験のある、テレビ評論家の水島宏明氏はこう指摘する。
「史実を基にしたドラマでも、フィクションであれば必ずしも遺族への取材が必要なわけではありません。ただ今回、NHKはドキュメンタリーパートもセットで制作しており、ドラマがあくまでもフィクションだという構図は伝わりにくい。遺族の方がいるセンシティブな主題にもかかわらず、事前の根回しがお粗末だったといえます」
NHKに問うと、
「飯村氏には7月初旬からインタビュー取材などを行いました。同氏のご意見は役員とも共有した上で、番組責任者に窓口を一本化してご説明するなど、誠意をもって対応しています」
まさか、はぐらかしやたらい回しが「誠意」だとは言うまいが。
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