NHKの終戦80年ドラマで「祖父の人格をゆがめられた」 孫が怒りの告発 「温厚だった祖父がまるで悪役かのように描かれ…」

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悪役として描かれてしまった飯村氏の祖父

 そして放送の日を迎え、飯村氏の不安は的中する。作中での所長が、まさに悪役と言うにふさわしいキャラクターだったのだ。当初こそエリートたちに自由な議論を促すものの、東條英機・陸軍大臣が研究所に注目していることが分かると「上に不都合があっては困る」と態度を一変。主人公に対し圧力をかけるようになる。さらに若者たちが戦争回避の方向に議論を進めるのを見るや「面倒に巻き込まれるのは御免」と部下に仕事を丸投げし、研究所から退出してしまうのだ。その後も一貫して、主人公たちの意見を握りつぶすべく暗躍する敵役として描かれていた。

NHKサイドは「二枚舌」

 飯村氏が肩を落とす。

「関連する書籍をしっかりと調べていれば、祖父をこういうふうには描けなかったはずです。一応、ドキュメンタリーパートでは画面の左下に“板倉所長は物語上の創作で飯村穣氏とは関係ありません”とテロップで小さく書かれていました。総力戦研究所の役割など歴史的事実が歪曲されることは避けられたものの、フィクションと史実の境目が限りなく曖昧な番組だったように見受けられました」

 番組冒頭にも15秒間ほど「総力戦研究所の所長および関係者はフィクション」とのテロップが挿入されていたが、飯村氏はNHK側の言動に不信感を募らせている。

「話し合いの際、局員の方は“あくまでフィクションだ”と私に説明をしていたのに、放送直前の新聞社のインタビューでは“フィクションに頼った部分はあるが、かなり実態に近づけたと自負している”などと自慢げに話していました。二枚舌です。映画化の話があるとも言われましたが、あの内容では到底受け入れられない」

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