昨季の“失策王”が今季はGG賞候補に…「佐藤輝明」覚醒の秘訣は「守備強化」 飛躍の裏に「藤川監督」と「下柳グラブ叩きつけ事件」のコーチが
阪神タイガースが2年ぶり7度目のリーグ優勝を果たした。球団創設90周年のメモリアルイヤーでの歓喜には、史上最速(9月7日)の決定というおまけまでついた。チームを中心で引っ張ってきたのが、サトテルこと主砲・佐藤輝明(26)である。2020年、4球団競合のドラフト1位で入団し、これまで4年連続で2桁本塁打を放つなど結果を残してきたものの、そのポテンシャルの高さから「球界を代表する選手に」との周囲の期待に十分に応えていたとは言い難い。しかし、今季は本塁打、打点の打撃2冠はほぼ当確と、ついに覚醒の時を迎えたようだ。そして、佐藤をここまで押し上げた背景には、守備の強化と、あるコーチの存在があった。
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ダントツの失策王
「もう、最高です! ここまで、いい活躍ができたので。このためにやっているようなもんだから」――。優勝の瞬間、胴上げそしてビールかけまで佐藤の笑顔が止まらない。ファンから「サトテル」の愛称で呼ばれるようになった彼の最大の魅力は、もちろん本塁打にある。今季は現在36本塁打で、40発が射程圏内に入った。ホームラン王獲得はほぼ確定的で、阪神からの誕生となると、ランディ・バース以来、39年ぶり。日本人ではミスタータイガース・掛布雅之以来41年ぶり。名実ともにタイガースの顔になった。
しかし、ここに至るまでの道は決して順風満帆だったわけではない。2021年に入団し、いきなり24本塁打を放つも、以来、4年間でその数字を更新することは出来なかった。昨季は16本塁打とプロ入り以来、最低の本数に終わる。何より酷評されたのは守備力。主にサードを任されていたが、昨季はシーズン23エラーと、12球団ダントツの失策王という不名誉な成績を残してしまったのだ。
「散々な結果でしたから、咋オフのゴールデングラブ賞の記者投票では『0票』の屈辱を味わいました。守備の乱れは打撃にも影響していた。187センチ、95キロの大きな図体の割には、繊細で、決してメンタルが強いほうではない。ましてや昨年の指揮官は厳しい岡田彰布監督です。エラーをすればボロクソにダメ出しをされた。それを気にしてか、失策後の打席の打率は実に1割台に落ち込みました」(阪神担当記者)
藤川新監督は、ここにメスを入れたという。
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