「日本が移民に乗っ取られる!」 人々が勘違いしてしまった“元凶”とは 「アフリカ・ホームタウン」騒動を振り返る

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「5000件以上のメールが」

 実際、件の事業で西アフリカのガーナ共和国と交流を図る予定である新潟県三条市の担当者に尋ねると、

「今になって少し落ち着いてきましたが、当初はほとんど業務ができない状態でした。先月25日から今月2日午後4時までで、メールなどでは5296件、電話で1004件のご意見を頂戴しています」

 同事業で、アフリカ南東部のモザンビーク共和国との交流を認定された愛媛県今治市の担当者に至っては、

「(一般市民からの)問い合わせを優先しているので、取材への対応はできない」

 と答えるのだった。

 さらに同事業の主体であるJICA本部(東京都千代田区)の前では、アフリカ諸国との交流中止を求めるデモが、連日繰り広げられるありさまなのである。

大混乱の元凶

 そもそも騒動の引き金となった「アフリカ・ホームタウン」事業とは何なのか。当のJICAに聞くと、

「実は『ホームタウン』の取り組みに明確な定義はなくて……。各々の自治体が、これまでさまざまな経緯で行ってきたアフリカの国々との国際交流を、引き続き支援するというものです。例えば、先の東京五輪やパラリンピックでは、木更津市がナイジェリア、長井市がタンザニアのホストタウンを務めていました。その後も各自治体はそれぞれの国と親交を続けていたので、TICADを契機にJICAとしても“名前”を付けて応援しようという話でした」(報道課)

 その“名前”こそが「ホームタウン」だったというわけだが、これが大混乱の元凶となったのは否めない。

 実際、前出の木更津市の担当者はこうも言う。

「『ホームタウン』という言葉が、例えば『定住』とか『移民』という言葉と結び付いてしまうのが、大きな問題だと思っております。市としては、先月28日に謝罪に訪れたJICAの副理事長に対して、このままでは事業を進めていくことができないため、ネーミングなども含めて再考いただきたい。その旨の申し入れを行ったところです」

 後編【「日本政府とJICAが自治体とグルになって移民政策を推進」という“陰謀論”が拡散 自治体の担当者は「”政府を信用するな”という過激な方も」】では、この問題を巡って拡散されている“陰謀論”などについて詳しく報じる。

週刊新潮 2025年9月11日号掲載

特集「『アフリカ・ホームタウン』騒動 『移民反対!』の大混乱を招いた真犯人」より

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