連れ子の娘はかわいいけれど…「僕との子ども」は拒む妻 引き出しに隠されていたモノに46歳夫は打ちのめされた

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月に1度は「父」と会う娘

 結婚したと報告するとスナックの常連さんたちも祝ってくれた。本来なら勤めはやめてほしかったのだが、オーナーが親戚でもあり、忙しいときだけでも手伝ってほしいと言われて完全にやめることはできなかった。

「週に2回くらいは『お願い、手伝って』と言われていました。オーナーにはとても世話になっていたから断れないと美知代が言うので、僕もそういうときは仕事を早く切り上げて帰宅、娘とふたりで夕飯をとることもありました」

 娘は母に似て、物怖じせず、はっきりとものを言う明るい性格だった。啓輔さんが「無理にお父さんと呼ぶ必要はないよ。なんとでも呼んで」と言うと、美知代さんと同じように「啓ちゃん」と言うようになった。

「ただ、娘はときどき父親の写真を見ている。離婚時の取り決めで月に1度は会っていましたし。会うのはかまわないけど、会うとやはり心が乱れるのか、その後は少し口数が少なくなる。それが心配でした」

子どもをほしがらない美知代さん

 もうひとつの懸念は、美知代さんが啓輔さんとの子どもをほしがらなかったことだという。最初は「まずは新しい生活に慣れたい」と言っていたが、1年たち、生活が軌道に乗っても、子どもに関しては消極的だった。

「他には何でも話しあうのに、子どもに関して僕が何か言うと、なんとなくはぐらかす。そのうち、自然に任せましょうよと言い出した。セックス自体は拒否しないんですけどね。僕は不妊治療も辞さないと思っていたので、病院に行こうと誘ったのですが、『娘の習い事の送り迎えもあるし、忙しい』と言われた。もうひとりくらいいてもいいじゃないかとさんざん言ったら、『どうしても自分の子がほしい? 私の子だけじゃ不満?』と詰め寄られて、なんだかすごくショックでした。娘はかわいいし仲よくしてもらってると思ってた。だけどそれとは別に自分の子はほしかった。でもそれを批判されたような気がしたんです」

引き出しを片づけていたら…

 ある日曜日、美知代さんと娘が前夫に会いにいったため、彼は家中を掃除していた。なんとなくわだかまりがあるような夫婦関係をスッキリさせたかった。独身時代から、スッキリしたいときは掃除をするに限ると彼は思っていたという。

「キッチンの引き出しを片づけていたら、見慣れない薬があったんですよ。こんなところにどうして薬がと思いつつ、調べてみたらなんとピルだったんです。妻がピルを飲んでいるなんて聞いてなかった。それほど僕との子どもがほしくないのかと膝から力が抜けました」

 その日、妻と娘は上機嫌で帰宅した。前夫と会ったのがそれほど楽しかったのかと啓輔さんとしてはおもしろくない。妻にはピルを見つけたとは言えなかった。

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