「海自スパイ事件」で“ロシアが欲しがった情報”とは マスコミ大騒ぎでも実は「極秘でも何でもなかった」理由
スパイに対する感覚がズレている
「こんなお粗末で噴飯もののスパイ事件はありません。新聞やテレビは大騒ぎしているが、頭を冷やした方がいいのではないでしょうか」
と切り捨てるのは、軍事評論家のガブリエル中森氏だ。
「学生のアルバイトじゃあるまいし、1回3万円の情報提供料とは。ロシアだって、これで大きな情報を得ようと考えるほど馬鹿じゃありません。要は、情報は3万円の価値しかないということ。釣りをする時は、まず撒き餌をして魚を寄せるが、まさに今回はそれ。いや、まだ餌の価値もないかもしれませんよ」
さらにこうもいう。
「昭和62年に軍事評論家が横田基地の図書館にある資料をロシアに流して逮捕されたが、今回も似たようなもの。あの時も密会場所はチェーン系居酒屋でしたが、そんなレベルの事件なのです。要するに、冷戦の終結で世間から忘れられている公安警察が、その存在価値を誇示するためわざと大きな事件に見せかけているだけ。これで大騒ぎしているのだから、スパイに対する感覚そのものがズレているのではないでしょうか」
半面、ニッポンがスパイ天国なのも事実。しかし、こんな事件で右往左往しているようでは、スパイ大国に太刀打ちできるハズがない。
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「神奈川県警ですけど迷惑かけるね」と警察手帳を――第1回【筋金入りの「ロシア諜報部員」とバーで密会…「海自スパイ事件」自衛官逮捕の決定的瞬間 「別々にテーブル客が一斉に立ち上がって」】では、25年前の9月7日、密会場所でAが逮捕された様子などを伝える。
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