「月額8000円でハンターになれる」 都心で働く会社員女性が汗だくでイノシシを解体 鉄道会社が始めた「新ビジネス」とは

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 女性たちが笑顔で手にしているのは、鶏もも肉ではない。実は、東京・八王子市内で農作物を荒らしていたイノシシのもも肉とすね肉なのだという。この二人、一体何者なのか……。

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汗だくでイノシシの皮を剥ぎ……

 実は、二人は猟師ではない。杉並区に住み、都心で働く勤め人だ。この日、動物の解体を初体験。ベテランスタッフの指導の下、慣れない手つきで皮剥ぎから解体までを、汗だくになってやり遂げたのだ。

 これは2022年に小田急電鉄が始めた「狩猟体験」ができる新規事業「ハンターバンク」の活動。わなの仕掛け方から、捕獲、解体の仕方までを狩猟経験者に教わりながら学べるという。

 八王子の山中で解体実習が行われたのは8月24日。参加したのは、ハンターバンクの会員24人とサポートスタッフたちだ。実習用に用意されたシカ2頭とイノシシ1頭、それにこの日捕獲されたイノシシ4頭が解体された。

 これまで2回のレクチャーで「箱わな猟」の勉強をしてきたが、参加者のほとんどが解体は初体験。慣れない手つきではあったが、2時間ほどですべての作業を完了。大量の“収穫物”を分け合って持ち帰った。

月額8000円で箱わな猟

 彼らに猟のノウハウを教え、機材を貸与し、わなを仕掛ける場所まで提供しているのがハンターバンク、つまり小田急電鉄だ。

「作物を食い荒らし、人に危害を加えるなど、獣害は大きな社会問題になっています。実は鉄道会社にとっても野生動物と電車の衝突事故は大きな悩みの種です。一方、狩猟やジビエに興味を持つ若者も増えており、両者のマッチングができないかと事業化したのがハンターバンクなのです」(小田急電鉄担当者)

 最も早く事業展開した小田原エリアでは2年で700人の会員が誕生。昨年1年間で82頭のイノシシが捕獲された。小田原、八王子など4エリアに加え、9月からは千葉、埼玉にもエリア展開。事業は拡大している。3カ月のレクチャー期間は月1万5000円、その後は月8000円で箱わな猟を継続できる。

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