ホストクラブでシャンパンタワーにダイブ、救急搬送…「頂き女子りりちゃん」の規格外の行動
『渇愛 頂き女子りりちゃん』著者・宇都宮直子氏に聞く
2019年、Twitter(現・X)上に突如現れたのが、「頂き女子りりちゃん」こと渡辺真衣受刑者(27)だった。新宿・歌舞伎町のホストクラブでシャンパンタワーにダイブして救急搬送される「規格外」の行動力、男性心理を巧妙に操る「頂きマニュアル」、そして彼女に共感する熱狂的女性ファンたち。狂乱の事件に迫った『渇愛 頂き女子りりちゃん』(小学館)の著者・宇都宮直子氏が、当時の様子を振り返る。(全4回の第2回)
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――渡辺受刑者の存在を最初に知ったのはいつ頃ですか。第一印象はどうでしたか。
彼女の存在を認識したのは、ちょうど2021年頃です。それ以前に新宿・歌舞伎町でホスト刺殺事件があり、「ホス狂い」(ホストに依存する女性)の女の子たちが非常に注目を集めていました。
同時期にTwitterで「自分はホス狂いだ」とアカウントを作り、多額のお金を使った報告や、ホストへの愛のポエムを投稿する女性たちが急増していたんです。中でも渡辺さんは群を抜いて目立っていました。すでに「頂きマニュアル」も売り始めていました。
正直、最初は「どうせまたネカマ(ネット上で女性になりすます男性)で、商材を売っているんだろう」と思っていました。しかし、内容があまりにも具体的で、スペース(音声配信)をやっている声も普通の女の子だったので、「あれ、実在するんだ」と驚き、「こんな子いるんだ、規格外だな」と思ったのが第一印象です。
――なぜ、渡辺受刑者を本格的に注目するようになったんですか。
当初は、他にも多くの「ホス狂いインフルエンサー」がいたので、その中の一人として見ていました。むしろ、彼女は「完成度が高かった」ため、当初はそこまでウォッチしていなかったんです。あまりにもよくできていたので、まるで誰か裏でプロデュースしている人がいるのかとすら思ったほどです。
しかし、彼女の行動が毎回トップレベルで派手だったため、徐々に気になり始めました。例えば、シャンパンタワーの一番上に「破滅」とデコったボトルを置き、それにダイブし、そのまま救急車で運ばれるといった行為などには「え?」と思って見ていました。
決定的に注目したのは、彼女が「頂き行為はやめる」といい、その後支援者となる編集者で作家の草下シンヤ氏らとの交流を重ねながら「ホスト通い」も断ち始めた頃からです。その頃から「この子、どうなっていくんだろう」と強く思うようになりました。情緒が危ういと感じ、あのままのテンションでどこに落ち着くのか気になっていたら、1か月もしないうちに逮捕されたという流れです。
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