「しあわせな結婚」最終盤でも謎だらけ 「松たか子」は聖女か悪女か 「阿部サダヲ」が翻弄される結末は
考はネルラを庇う?
阿部サダヲ(55)と松たか子(48)が共演するテレビ朝日のマリッジ・サスペンス「しあわせな結婚」(木曜午後9時)が、全9回のうち第7回まで終了した。謎解きはかなり歯ごたえがあり、到達点はまだ見えない。【高堀冬彦/放送コラムニスト、ジャーナリスト】
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【写真】父の腕を組んで…久方ぶりの共演となった「松たか子」「松本白鸚」親子
第7回はネルラ(松)の18歳年下の弟・鈴木レオ(板垣李光人)の部屋から、火が出た。煙に巻かれたレオには意識がなかった。
15年前、ネルラの婚約者だった画家・布勢夕人(玉置玲央)を殺したのはレオなのか。自分の身代わりに叔父の鈴木考(岡部たかし)が警察へ出頭したから、責任を感じて自死を図ったのか。いや、レオを犯人とする証拠はまだ何もない。
この火災時、意識のないレオの顔を見ていたネルラは、布勢の死に顔を思い出す。殺人現場で聞いた声の記憶も蘇った。考の声だった。こう言っていた。
「おまえはやってない。いいか、この人を殺したのはオレだ。分かったな」
考から「おまえ」と呼ばれた人物が犯人だ。しかし誰なのかは分からない。レオかネルラか。考の口調が命令調だったから、2人の父親である鈴木寛(段田安則)の可能性はない。考にとって寛は兄だからである。
考が警察に出頭したのは第6回だったが、ネルラの蘇った記憶によると、事件発生時から身代わりになることを決めていたことになる。その人物として第一に考えられる人物はネルラである。
考とネルラは25年前、彼女の弟・五守を連れて海水浴に行き、溺死させてしまった。そのとき五守は6歳。ネルラは浜辺で半狂乱になった。この1年前には母親が亡くなったこともあり、ネルラは底知れぬ悲しみに襲われた。
ネルラは当時を振り返り、こう言っている。「叔父と私は五守を死なせた罪を同じ重さで背負った」(第3回)。2人には共犯意識があるわけだ。考は年長者なので、ネルラ以上の罪悪感をおぼえたのではないか。
以上の条件で考がネルラの身代わりになったら、ちょっと弱い。釈然としない。では、母親と五守を失ったネルラが、そのショックによって人格まで変化してしまったら、どうだろう。考はネルラの人生を狂わせてしまった責任を感じ、身代わりになるのではないか。
仮説を書かせていただきたい。ネルラは相次ぐ肉親の死のショックによって、二重人格となったのではないか。突飛な話ではない。人間は強いストレスやトラウマがあると、それから自分を守るため、別人格が生まれることがある。
そうであった場合、ネルラの人物評が良し悪しさまざまであることの説明も付く。ネルラの自画像の表情が恐ろしいことも腑に落ちる。以上、あくまで仮説である。
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