「しあわせな結婚」最終盤でも謎だらけ 「松たか子」は聖女か悪女か 「阿部サダヲ」が翻弄される結末は

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五守を殺したのはネルラ?

 ネルラは異様とも思える言葉をサラリと口にする。第5回だった。

「私は布勢を殺していないが、五守は殺した」

 弟の水難事故と、元婚約者の死を同一線上に語るのは不自然だ。水難事故にはまだ伏せられた部分がありそう。

 最終回まで残り2回だが、いまだ謎だらけ。ネルラは第8回の予告で、「やっぱり私が布勢を殺したのかもしれない」とつぶやいたが、真実性は不明だ。

 地味だが大きな謎は、布勢の人物像である。はっきりしていない。どんなミステリーも被害者像が分からないと、全容が見通しにくい。脚本を書いている大石静氏があえてそうしたのだろう。

 ネルラは布勢がレオの偽装誘拐を企てたことを夫で敏腕弁護士の原田幸太郎(阿部)に明かした。第5回のことだ。偽装誘拐は布勢が殺される1ヶ月前に起きた。

 ネルラによると、画家としての才能に限界を感じた布勢が、廃業してイタリアンレストランの経営に乗り出そうとした。そこで寛に出資を要請したものの、断られたため、嫌がらせで誘拐の真似事をした。ネルラの話だけ聞くと、布勢はろくでなしである。

 ところが、布勢と親しかった画商・三杉孝俊(森本のぶ)の証言は正反対。三杉は警視庁刑事・黒川竜司(杉野遥亮)に対し、「布勢は(最新作の)絵が完成したら、あの女と正式に結婚すると言っていた」と語った。布勢は創作意欲を失っていなかった。レストランの話も三杉は聞いていない。第7回だった。

 三杉はネルラのことは酷評した。「(布勢の死を知ったとき)あの女にやられたと思いました」。ネルラと三杉のどちらかがウソを吐いている。ウソを吐かなくてはならない理由もこれから分かるのだろう。

 布勢、ネルラと美術大で同級生だった小畑武尊(高木トモユキ)もネルラには良い印象を抱いていない。

「(布勢とネルラの)婚約は意外でした。布勢はスターで、ネルラはモブ(群衆)でしたから。布勢の才能を潰したのはネルラですよ」(第6回)

 ネルラも布勢をダメにしたのは自分だと認めている。

「彼を破滅させたのは私」(第2回)

 ここで、ちょっとした疑問が生じる。どうしてネルラが布勢を破滅に追い込めたのか? その手口もまだ明らかにされていない。

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