世田谷・韓国人女性殺人事件 空港まで同行した警官をだまして帰国しなかった「ストーカー男」 警視庁の「保安検査場までの見送り」は適切だったのか
署員の前で航空券も予約
だが、パク容疑者は大阪には向かわなかったとみられる。翌30日朝、バンさんのマンション前でエントランスに入るなど不審な動きをしているところを、マンションの警備員に発見され通報された。バンさんはマンション内にいたようだが、高級タワマンだったので警備がしっかりしていた。
パク容疑者は再び三田署に連れて行かれ、再度注意を受けることになった。
「署員は今度こそちゃんと帰国するよう強く警告。署員が目の前で航空便を取らせ、署員が成田空港まで同行することになりました」(同)
午後1時、空港まで同行した署員は、パク容疑者が保安検査場に入るところまでは確認した。しばらくは空港に残っていたが、やがてパク容疑者が帰国便に搭乗したと思い込みやがて署に戻った。だが、パク容疑者は予約した飛行機に搭乗しなかった。
「保安検査場に入った30分後には航空券をキャンセル。その15分後には再び外に出てしまった」(同)
飛行機の乗り込みまで確認するべきだったという声も
それからパク容疑者が都内のホテルに宿泊したことはわかっているが、30日、31日の詳しい足取りまではわかっていない。
事件が発生した9月1日は、朝から現場周辺をうろついているパク容疑者の姿が付近の防犯カメラに映っていた。
アパレル関係の仕事をしていたバンさんはこの日、事件現場となったフォトスタジオを仕事で訪れていた。休憩時間中に外に出ようとした時、パク容疑者に気づかれ襲われてしまったのである。
「なぜパク容疑者がバンさんの予定を知っていたかについてはまだわかっていません。2人の仲が決裂する前に本人から聞いていた可能性もあります」(同)
警視庁側はやれることはやってきたというスタンスだという。だが、ちゃんと帰国を確認していればと考えずにいられない。
「庁内の一部からは、保安検査場に入って搭乗するまで見ておくべきだった、という声も聞かれます。警察官は手続きさえ踏めば、中まで入ることができるのです。中まで入らずとも帰国便が出るまで外で待つこともできた」(同)
一方で、任意捜査の段階では限界があるとの声もある。
「大阪にしろ韓国にしろ任意での協力ですから、強制的に連れていくことはできません。仮に帰国便に乗るまで確認できたとしても、トンボ帰りして再入国することは止められなかった。ただ、ストーカー被害の相談中に凶悪事件へと発展するケースが後を立たないことは事実。今後、再発防止を防ぐため今回の対応が適切だったか否か検証する必要はあるます」(同)
パク容疑者は逮捕後の取り調べで黙秘を貫いているという。
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