切手の貼り方を知らない20代も…郵便事業「630億円の赤字」でわかった深刻すぎる「郵便離れ」 コレクター激減で「記念切手」が“額面割れ”に

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日本郵便の主要な事業は不動産業へ

 このように、郵便を取り巻く状況は厳しさを増している。郵便離れが急速に進んでいる原因は、2024年に行われた郵便料金の値上げと、普通郵便が届くスピードが遅くなったことも影響している。そして、メールやLINEなど様々な通信手段が生まれたためだとは思う。

 サービスの利用者はどんどん減少し、記念切手のコレクションも完全にオワコン化してしまっている。企業も請求書や書類を郵便で送る機会がほとんどなくなった。思えば、かつては毎日のように届いていたダイレクトメールも、いつの間にか見かけなくなってしまった。

 このままでは、10年後には郵便制度そのものがオワコンになっていても、何ら不思議ではない。電報の祝電のように、郵便は特別なものを送るときの手段として残る可能性はあるが、もはやインフラとしての使命を終えつつあるという意見もある。郵便制度をどう維持すべきかどうか、本気で考えないといけない時期になっている。

 郵便事業が衰退する一方で、日本郵政グループが力を入れているのは不動産業である。「KITTE丸の内」や「麻布台ヒルズ森JPタワー」のように、駅前や市街地にあった郵便局舎が次々に高層ビルや商業施設に変わっている。民営化された企業は一等地を有していることを武器に、不動産開発に熱心である。本業が郵便事業ではなく、不動産業になってしまっては、本末転倒なのだが……。

ライター・山内貴範

デイリー新潮編集部

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