切手の貼り方を知らない20代も…郵便事業「630億円の赤字」でわかった深刻すぎる「郵便離れ」 コレクター激減で「記念切手」が“額面割れ”に

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漫画家へのファンレターの数も激減

 数量としては決して多くないものの、今でも手紙のニーズがあるのは漫画家や芸能人に宛てたファンレターである。しかし、大手出版社で長年にわたって漫画雑誌を担当する編集者は、「ファンレターが本当に届かなくなった」と語る。こんなところにも、郵便離れが顕著にみられるようだ。

「20年ほど前は、人気のある漫画家ならファンレターが1日に数百通届くこともあり、段ボール箱がすぐにいっぱいになってしまうほどでした。今では編集部全体で、1日に3~5通あればいいくらい。漫画雑誌の部数が減った影響もあると思いますが、非常に寂しくなってしまいました。

 SNSをやっている漫画家も多くなり、今では感想を伝えるのはダイレクトメールというパターンが普通になりました。しかし、手書きのファンレターは編集部にとっても人気を計るバロメーターであり、何より漫画家を勇気づけるもの。ファンレターの文化はなくならないでほしいものです」

「見返り美人」「月に雁」が今なら安い

 以前、「デイリー新潮」に書いたが、郵便を取り巻く環境のなかで地味に問題となっていることに、切手コレクターの減少が挙げられる。「見返り美人」や「月に雁」など、人気切手の代名詞と言われていた切手の取引価格が数十年前からほとんど上がっていないどころか、値下がりしているのを見ても、コレクターが減っていることがわかる。

 記念切手の発売当日、郵便局に並ぶ人の姿もほとんど見られなくなった。数か月前に発売された記念切手は普通に売れ残っており、郵便局員もそれを売り切ろうと必死なのか、110円切手を買いに来た人に「記念切手でお渡ししてもいいですか」と聞く場面はよく見かける。記念切手は郵便局のお荷物になっているのだろう。

 チケットショップには誰かが収集したであろう記念切手が、シートで、しかも“額面割れ”で販売されているのを見かける。記念切手の発行はコンスタントに行われ、それらをデザインする切手デザイナーの仕事も注目されているものの、コレクターの増加にはほとんど結びついていないようだ。切手インフルエンサーの誕生を待つしかないのだろうか。

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