母に怒鳴られ、殴られて育った少年が40年後、自分の息子を叩き、罵倒するまで【毒母に人生を破壊された息子たち】
シェアハウスの恋
ホームレスになろうと思ったが、知り合いが誰でも無料で泊まれるというコンセプトで、シェアハウスを経営していたため、身を寄せることにした。実家に戻る気はなかったし、教団に入ったことで勘当されていた。
「経営者がインフルエンサーで、僕がお金を全然持っていなかったので、ネットで寄付を募ってくれたんです。すぐに見ず知らずの人が、お金とか服とか食べ物とかをたくさん送ってくれて、世の中には、こんなにいい人たちがいるんだって感激しました。ここでまた一つ、人間不信が取れました」
このシェアハウスで、女性から告白された。女性は家賃を払って、シェアハウスに住む住人だった。
「びっくりでした。女性から告白されたことが一度もなく、すぐに付き合うことにしました。やがて、彼女が借りた家で一緒に住むようになりました」
事実婚、出産
45年間、女性と付き合ったことも、恋人と性的交渉をしたこともなかった。付き合ってすぐに彼女が妊娠、引っ越しを余儀なくされ、うつで働けない井川さんと妊娠中の彼女の二人とも働けないということで、生活保護を受けて出産、息子が生まれた。
40代半ばになってようやく得た普通の幸せ。しかし、それでも井川さんは救われることはなかった。
「奥さんはものすごく子育てが苦手で、僕も手伝うのですが、とっても子育てがつらかった。毎日のように児童館に行って、クソつまんない遊びを、子どもとしないといけなくて。キツくて大変すぎて、限界を感じていたところに、魔の2歳児というか、子どもがわがままで逆らってくるので、2回、叩いたんです、苛立って。その頃から僕は次第に、奥さんを怒鳴るようになったんです。それで、彼女が家を出て、事実婚を解消しました」
彼女は実家に戻り、実母の面倒を見ることを条件に、姉が経済的支援を申し出て、今は子どもと安定した暮らしを送っている。それが、せめてもの救いだ。
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