「“日本経済が復活した”と考えるのは間違い」 日経平均“急騰”のカラクリ けん引する「四つの業界」とは

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相場をけん引する四つの業界

 上げ潮の株式相場をけん引する優等生はズバリ誰か。専門家たちに具体的な業界名を尋ねてみると、皆が口をそろえて「半導体」「AI」「防衛」「エンタメ」の四つを挙げるのだった。

 前出の深野氏によれば、

「今回の株価上昇に貢献したのは、AI関連では光ファイバーケーブルなどを手がけるフジクラ、半導体関連では検査装置大手のアドバンテストやソフトバンクグループでしょうか」

 半導体設計の大手企業を傘下に持つソフトバンクは、上場来高値を更新し続けた。一社単独で、実に日経平均を200円近くも押し上げたというのである。

「日本政府は2027年度までを目標に、毎年防衛費を増額していくとしています。そのため防衛産業に携わる三菱重工業の株も買われています。同社は発電所のボイラー技術も世界的に評価が高く、それが大きく関係していると思います」(同)

 三菱重工業も上場来高値を更新している。今月には、同社が川崎重工などと共に手がける護衛艦をベースにした次期フリゲート艦を、オーストラリア海軍が採用する方針となった。中国の海洋進出の危機が高まる中、環太平洋を巡っては緊張感が増すばかり。そのため、過去最高益を上げたIHIなど防衛関連の銘柄は株価が上がっている。

 そして意外なところでは、日本のエンタメ産業も株価高騰に貢献しているのだ。

 前出の広木氏によれば、

「世界的に人気のゲーム機『Nintendo Switch 2』を製造販売する任天堂や、ハローキティに代表されるキャラクタービジネスのサンリオ、それに映画『鬼滅の刃』や『国宝』の大手配給元・東宝も伸びていくでしょう。バンダイナムコなど日本のコンテンツ産業は、自動車のような製造業と並んで、世界に誇る産業になっていくと思いますよ」

自動車関連の銘柄は低調だが……

 懸念されるのは、最高値を更新した今回の相場でも、自動車産業の関連銘柄が軒並み低調だったことだ。

 1年前の自動車メーカー大手の株価を比べてみると、ホンダが4%安、最大手のトヨタでさえ13%安、マツダに至っては37%安となってしまった。トランプ関税のリスクを抱えているため、投資家たちから敬遠されているのである。

 経済アナリストの森永康平氏が言う。

「貿易統計や日銀の企業物価指数などを見ると、自動車メーカーがアメリカ国内での価格競争力を失わないために、関税分を自腹で負担して値下げし販売台数を確保しているように見えます。世界的にインフレが叫ばれる中、関税を負担するのは難しいはずですから、かなり厳しい状況だと捉えています」

 それでも広木氏に聞くと、

「自動車関連の銘柄は出遅れていますが、ここから修正されていくと思います。その根拠は関税の影響がハッキリとしてきたこと。それに、今後も円安が続くことが分かってくれば輸出産業に有利です。自動車株の出遅れは、修正が十分に期待できるでしょう」

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