「韓国と北朝鮮の代表が同じ茶席で自然とお茶を…」 茶道裏千家「千玄室さん」が考えの違う人々の心をも動かせた理由
生き残った者としての思い
99年、妻に先立たれ、その3年後、家元を離れ大宗匠、千玄室に。国際交流と戦地の慰霊を続けた。
昨年9月、特攻隊の前線基地があった鹿児島県鹿屋市串良町に建てられた「徳島白菊特攻隊」の慰霊碑の除幕式に参加。同隊で身内を亡くした東京在住の相田博司さんが建立を発案、千さんに計画を伝えると、感謝の念を表し、碑文を書くことも快諾した。「徳島白菊特攻隊を語り継ぐ会」会長の山下釈道さんは言う。
「碑に敬礼し、空を見上げ、いい場所だとおっしゃった。所属していた当事者にしか分からない感情です。生き残った者としてのじくじたる思いをずっと抱えておられたことが伝わってきました。後は頼むよと声をかけられ、込められた意味の深さを感じています」
今年5月に転倒し入院。8月14日、102歳で逝去。
「3月に会った時、私に歩み寄り耳元で“まだ元気なんだなぁ”とささやいた。ここまで生きた感慨と“向こう”をふと思う双方の気持ちがにじんでいた」(山折さん)
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