米国マクドナルドはなぜ値下げを決断したのか 値上げラッシュの米国でなぜか「デフレリスク」浮上、株式市場も大荒れか

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インフレからデフレに転じる可能性

 このような状況を受けて、2008年の景気後退を予測した経済学者でローゼンバーグ・リサーチを率いるデイビッド・ローゼンバーグ氏は、「我々はデフレの危機に直面している」と警鐘を鳴らした。

 ローゼンバーグ氏は、トランプ政権の下で移民の流入が減少し、それにより消費支出が抑えられることも警戒している。移民の労働力人口や新規入国ビザ発給件数は前年割れとなっており、米国の個人消費にマイナスの影響を与えることは確実だ。

 ローゼンバーグ氏が指摘しているとおり、米国で続く高齢化(2020年の高齢化率は16.8%)の傾向もデフレ圧力となる。高齢者は消費より貯蓄を好む傾向が強いからだ。

 米国がインフレからデフレに転じる可能性は排除できなくなっているのかもしれない。デフレは消費者にとって福音だが、日本がかつて経験したように、高インフレの抑制よりも解決が難しい政策課題だ。実質金利が上昇するため、株式市場を始め金融市場が打撃を被る可能性が高いと言わざるを得ない。

「米国経済がデフレ化する」と断言するつもりはないが、米国経済の今後の動向は最大の関心をもって注視すべきだろう。

藤和彦
経済産業研究所コンサルティングフェロー。経歴は1960年名古屋生まれ、1984年通商産業省(現・経済産業省)入省、2003年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)。

デイリー新潮編集部

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