「田中将大」が“V字回復”した理由 「伝家の宝刀」スプリットを劇的改善 200勝をアシストする「阿部」ではない“名監督”とは

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 待ちに待ったその瞬間が訪れるかもしれない。楽天で119勝、ヤンキースで78勝、そして今季からプレーする巨人で2勝。プロ入り19年目を迎えた36歳の田中将大が日米通算200勝に王手をかけた。

 金字塔まであと1勝に迫った田中は、28日に敵地マツダスタジアムで行われる広島戦に先発予定。昨季わずか1試合の登板に終わり、“もう終わった”と思われたレジェンドはあっさりと名球会入りを決めるのか。田中将が春先の不振からV字回復を遂げた要因を探ってみた。

 【八木遊/スポーツライター】

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24歳で通算99勝に到達

 田中将が今季2勝目、通算199勝目を挙げたのは今月21日のヤクルト戦。2回までに6点の援護をもらうと、失点をオスナのソロ本塁打だけにとどめ5回を投げ切った。6回以降は4人の投手が1イニングずつを投げ、7-1で巨人が快勝。田中将は4月3日以来、4か月半ぶりの白星を手中に収め、日米通算200勝へあと1勝とした。

 田中将が200勝に到達するのにこれほど時間がかかるとは誰が想像しただろうか。2007年に高卒1年目でいきなり11勝をマークすると、3年目に15勝、5年目には19勝を挙げ最多勝利投手にも輝いた。

 極めつけは7年目の2013年。楽天不動のエースとして、開幕から24連勝を記録し、創設9年目のチームを初優勝に導いた。その時点で通算勝利数は「99」。田中はまだ24歳の“若手”だった。

 翌年から活躍の舞台をニューヨークに移した田中は、右肘のケガに悩まされながらもヤンキースでの7年間で合計78勝をマーク。31歳のシーズンを終えて、日米通算勝利数を「177」とした。

 年齢的にもあと2シーズン、遅くても3シーズンあれば通算200勝に手が届くと思われたが、楽天に復帰後の2021年以降はなかなか白星がつかなかった。年間を通じてローテーションを守った復帰1年目は、23試合に登板し、パ・リーグ5位の防御率3.01をマーク。ところが打線の援護に恵まれず、4勝止まりに終わった。

 その後は翌22年に9勝、23年に7勝と着実に白星を重ねたが、24年は前年の秋に受けた右肘のクリーニング手術の影響もあってか、二軍で調整する日々が続いた。結局、9月下旬に1試合に登板しただけで、プロ入り初のシーズン未勝利。オフには楽天の再契約オファーを拒否し、田中将は巨人での再出発を選んだ。

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