韓国で大流行の“ダイエット注射”ウゴービを打ってみた 1発1万円で1か月10キロ減も…思わぬ副作用が社会問題化の懸念

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 楽して痩せられる方法などない――それがダイエットの常道とされてきた。だがいま韓国では、“注射ダイエット”が爆発的に流行している。現地在住ライターのノ・ミンハ氏が、自らの身体で体験ルポを綴る。ただし、手放しで推奨できるものではないようで……。

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 韓国では現在、「外国製のダイエット注射」が大人気だ。これまでもダイエット注射の類は知られていたが、多くは「体内の脂肪分解を促す」効果を謳うもの。しかし今回注目を集めているのは、脂肪分解に加え、食欲を抑える効果があるとされるもので、老若男女の関心を一気に集めている。

 ウゴービ(Wegovy)だ。

 デンマークの世界的製薬会社ノボノルディスクが開発した注射型の肥満治療薬で、もともとは糖尿病治療目的のものだった。肥満患者に投与すると食欲を抑え、脂肪分解を促進し、血糖値のコントロール能力も改善されることから、一般人へのダイエット効果にも注目が集まった。

 著名人の使用例は多い。テスラCEOのイーロン・マスクはウゴービも使用したダイエットで14キロの減量に成功したといわれるし、アメリカのインフルエンサーでありタレントのキム・カーダシアンも、わずか1カ月で7キロも体重が減った背景にウゴービ投与があると噂されている。

 ノボノルディスクの株の時価総額は、2023年、フランスのルイ・ヴィトン(LVMH)を抜いて欧州株式市場の1位に。2023年9月時点の時価総額は4,279億ドルと、同社が本拠を置くデンマークのGDP(約4,070億ドル)をも上回った。ウゴービへの評価は高い。

100キロ超の体型が40キロの減量に成功?

 韓国では2024年10月15日から販売がはじまった。病院での処方と薬代を合わせて40~50万ウォン(約4.5~5万円)と高額であるにもかかわらず、即完売。すぐに“品薄の治療薬”と呼ばれる人気を集めた。日本でも2024年2月から販売が始まったようだが、あくまでガイドラインで定められた医療機関だけが扱える保険薬。一方、韓国は保険適用外の自由診療扱いで、全額自己負担。日本の厳格さに比べると韓国はゆるいと言える。

 韓国でも、ウゴービでダイエットに成功した有名人が少なくない。なかでも、BTSのプロデューサーであり大手芸能事務所ハイブの会長、パン・シヒョク氏はその代表格だ。

 彼は2024年初頭まで、見た目にも明らかな100キロ超の体型だった。しかし今年に入ってからは激やせした姿で公の場に現れ、その減量の秘密をメディアが探ると、ウゴービを使用していたことが明らかになった。ピーク時から最大で40キロの減量に成功したという。

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