韓国で大流行の“ダイエット注射”ウゴービを打ってみた 1発1万円で1か月10キロ減も…思わぬ副作用が社会問題化の懸念

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いざ、病院へ…

 パン氏の成功に刺激を受け、筆者もウゴービに興味を持った。今年初めの健康診断で医師から「このまま太り続ければ糖尿病になる」と警告され、本格的な減量の必要性を感じたためだ。

 ウゴービを購入するには、まず病院での診察を受け、正式な処方を受けなければならない。医師が副作用への耐性や体重・体脂肪率を判断し、それに応じた適正量を処方する。

 接種では1回では終わらない。1~4週目が第1段階、5~8週目が第2段階、9~12週目が第3段階、13~16週目が第4段階と進み、各段階で投与量が増えていく。筆者は最初から多めの量で始めたい旨を伝え、通常は第2段階となる0.5ミリグラムを初回で処方された。

 処方箋をもとに薬局でウゴービを購入するわけだが、どこでも売っているわけではない。人気のため、特に病院が集中するソウル・江南では完売の薬局がほとんどだった。そのため、「私のドクター」というアプリで在庫のある薬局を探して予約する必要があった。

 筆者は江南・新沙駅付近の在庫のある薬局を見つけ、なんとか予約に成功。薬局では冷蔵保存されていたウゴービ2箱を受け取った。ウゴービはビニール袋にドライアイスと一緒に包まれていた。

 薬剤師から、「週1回、主に腹部に自己注射する方式」であることを伝えられた。使い方は説明書やYouTube動画でも詳しく説明されている。

 2箱のうち1箱には注射器本体(バディ)が入っており、0.5ミリグラムの用量に対応している。もう1箱にはヘッド部分が4個入っていて、1週間に1つずつ、同じ曜日に使用する。ヘッドだけで価格は約40万ウォン(約4.5万円)。つまり1回の注射あたり約10万ウォンで、日本円で1万円ほどがかかる。ほか、診察代をふくめ、処方から購入までに約45万ウォン(約5万円)を支払った。

 ヘッドをバディに接続し、表面の保護シールをはがして針を出し、ダイヤルを0.5ミリグラムに設定した後、腹部に針を刺す。それからバディの先端のボタンを押すと薬液が体内に注入される仕組みだ。

 筆者は購入したその夜、説明書を読み込み、慎重に注射を打った。1本10万ウォンと考えると、否応なく真剣になる。効果を高めようと夕食も抜いた(ウゴービは食事の有無は問わないのだが)。世間では副作用として頭痛や吐き気があるといわれているが、筆者は感じなかった。

4週間で10キロ減…“神がつくった奇跡の薬”

 そして翌朝──。不思議なことにまったく空腹感を覚えなかった。いつもなら、昼までなにも食べずに働けば空腹で倒れそうになる。ところが、ウゴービを打ってからは、午前中にあちこち歩き回っても、午後3時になっても空腹も疲労も感じなかった。まるで“神がつくった奇跡の薬”のように感じられた。

 1日1食でもまったく問題がなく、「なにか食べたい」と思うことがなかった。この状態が続き、1週間で5キロ減少。食事量が減ったことに加え、体内の水分が抜けたことで、急激な体重減につながった。

 こうして4週間で10キロの減量に成功。ぽっこり出ていたお腹もすっきりし、「太ったおじさん」の姿から大きく印象が変わった。

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