早くも「新米」高騰で“異色の兼業農家”は「5キロ5400円」を懸念…現実味を帯びる「深刻なコメ離れ」と「ラーメン1000円の壁」の共通点

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ラーメンとの共通点

「1俵60キロで3万2500円ですから、1キロ541円。従来、これを倍にした金額が販売価格になってきました。今年も同じなら倍にして1キロ1083円、5キロで5416円になります。多くの消費者は非常に高いと驚く額でしょう。個人でコメを販売している農家の中には1キロ1100円以上で売る人も現れています。これほどコメの価格が上昇すると、農業関係者からも消費者のコメ離れを心配する声が出てきます。私が思い出したのはラーメンです。昔のラーメン店は1杯600円程度でしたが、800円、900円と値上がりし、最近は1000円超えも珍しくありません。そして値段が上がるほど、私は自然とラーメン店から足が遠ざかりました。今では、ラーメンを食べるなら、袋麺を選びます。コメも今秋以降、ラーメンと似た状況になってしまわないか心配しています」(同・木村氏)

 コメの適正価格とは果たしていくらなのか、高くても買いたいコメというものは存在するのか──現時点で、この難問に答えられる人は誰もいないだろう。

「JAの概算金、1キロ541円では農家の未来は絶望的です。とはいえ、1キロ1100円の販売価格は消費者にとっては現時点では高すぎます。一方、コメ栽培に必要な農薬、肥料、資材の価格も値上げが続いており、今年だけ概算金が増えても農家の利益はほとんど増えません」(同・木村氏)

コメ価格のばらつき

 木村氏は「コメの買い取り価格が一気に上がるのではなく、消費者も受け入れられる緩やかな上昇が理想です」と言う。

「緩やかな上昇が数年のスパンで続けば、消費者の負担は激減しますし、経済的に疲弊している農家の経営も徐々に改善するはずです。私はコメの自主流通米販売も行っていますが、この秋は、30年前と同じキロ税込700円での販売を続けることに決めました。そのため今年は確実に儲かりません。ひょっとすると今年は、例年以上に自主流通米価格のばらつきが激しくなる可能性があります。ネットで購入するときは有機とか無農薬とか県認証とかしっかりと内容を吟味しないと、問題のあるコメを掴まされる可能性が高いと思います。正直、『これだけ農薬使って、化成肥料使ってこの値段か!』というのはよく見ます」

 第2回【酷暑と水不足の「異常気象」で「一等米が減少し、銘柄米は高騰」の深刻リスク…温暖化が招く「いまそこにあるコメの危機」】では、猛暑がコメ不足を生み、今秋のコメ価格は高騰する可能性についてお伝えする──。

註:今年の新米5kg7800円も 異常な高値に業者も困惑 「備蓄米売り切れない」悲鳴も(テレ朝NEWS:8月17日)

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