早くも「新米」高騰で“異色の兼業農家”は「5キロ5400円」を懸念…現実味を帯びる「深刻なコメ離れ」と「ラーメン1000円の壁」の共通点
農林水産省の調査によると、昨年6月にコメ5キロは全国のスーパーで平均2000円から2200円(税込、以下同)で売られていた。ところが“令和の米騒動”で価格の高騰が進行し、石破首相は今年5月の党首討論で「5キロ3000円台に下げる」と断言。随意契約による備蓄米の放出といった対策も功を奏し、価格は下落に転じていた。(全2回の第1回)
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【写真】「5キロ4000円台」からコメの平均価格は下落していたが…農水省のデータを見ればジリジリと上昇に転じているのが一目瞭然
ところが、である。農水省は8月25日、「8月11日から17日の週は、コメ5キロの平均価格は3804円だった」と発表した。5キロ2000円台の備蓄米が話題となっていたはずだが、気がつけば4000円台が迫ってきている。
担当記者は「8月4日から10日の週は3737円だったのですが、その前の週と比較した上がり幅に注目が集まりました」と言う。
「平均価格3737円は前週より195円の上昇で、これは集計を始めた2022年以降で最大の上昇となったのです。最新状況である11日から17日の週を見てみると、目を引くのは銘柄米の高止りです。3月から5キロ4000円台が続いており、11日からの週は平均で4268円でした。新聞やテレビは『早場米の新米が高騰し、銘柄米の価格が上がった』と指摘しています。しかし食料品の値上がりに苦しむ私たちにとっては、8月に入ってブレンド米が2000円台から3000円台に上昇したほうが手痛いかもしれません」
早場米の新米が店頭に並び始めたが、その価格は異常だ。テレ朝NEWSによると、首都圏のとある米穀チェーン店では高知県産の新米2種が5キロ7800円と6450円で売られていたという(註)。
コメの販売状況に詳しい関係者は「とてもではありませんが、早場米の新米は私たちが買える価格ではありません」と苦笑する。
「備蓄米売れ残り」情報の謎
「随意契約による備蓄米、いわゆる“小泉米”は販売期限が8月末に設定されていました。新米の価格に影響を与えないよう配慮したのです。ところが小泉進次郎・農水相は20日に期限延長を発表しました。コメ価格の再高騰が現実味を帯びてきたので当然の判断でしょう。ただXでは気になる投稿が目立ちます。『備蓄米が売れ残っている』という投稿が散見されるのです。私は先日、都内と千葉県内のスーパーを見て回りましたが、店舗によっては備蓄米の棚に『売り切れ、入荷未定』の張り紙が出ていました。一時期、カルフォルニア米は5キロ2900円台まで下がったのですが、最近は再び3000円台前半まで値上がりしています。備蓄米がどれほど余っているのか、調べてみたいと思っています」
木村和也氏は登山専門誌「山と溪谷」で知られる出版社、山と溪谷社のOBだ。生まれ育った新潟県南魚沼市にUターンして実家のコメ農家を継ぎ、フリーペーパー「山歩みち」の編集長を務めている。異色の“兼業農家”と言っていいだろう。
木村氏は「地元のJAが2025年度の概算金を発表しました。魚沼産のコシヒカリは一等米1俵で昨年より1万3000円高い3万2500円です」と言う。
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