あっという間に人口1億人割れなのに… 日本に新たな「住宅」「高速道路」「新幹線」は必要なのか

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空き家も新築住宅も増え続ける異常

 いま私たちがいろいろな分野で平穏を享受しているのは、「嵐の前の静けさ」に染まり、来るべき轟音に気づいていないだけなのではないか。そんな気がしてくる。

 たとえば、新築分譲マンションの供給数。不動産経済研究所の調べでは、2024年の発売戸数は首都圏で2万3,003戸、全国で5万9,467戸だった。それぞれ14.4%、8.6%減少し、全国では4年ぶりに6万戸を割ったというが、むしろ、いまもそれほど多くのマンションが建ち続けていることに驚かされる。

 というのも、一方で空き家が増え続けているからだ。総務省が昨年9月に公表した2023年住宅・土地統計調査(確報集計)によると、全国の空き家は900万2,000戸に達した。30年前の1993年の2倍に達し、総住宅数に占める割合、つまり空き家率は13.8%を記録。空き家の数は過去最多になり、空き家率は最高を更新したという。

 空き家が増えれば周囲の住環境は悪化する。治安が悪くなるのはもちろん、近隣の住民の不安や不快感が増し、倒壊による危険性も生じる。だから、空き家を再生したり、新しい住居に生まれ変わらせたりすることが重要で、ディベロッパーなども巻き込みながら、空き家が増えた地域の再生を図っていくことが必要なはずだ。そうしなければ、地域が崩壊していく。

 ところが、現実にはマンションをはじめ新しい住宅が供給され続けている。現在、土地代も建物の建設費も高騰し、たとえば東京では、後者は10年前にくらべて30数%上昇している。供給数が減ったといっても、コスト高のなか、これだけのマンションが供給されている事実には驚かされる。

 ただでさえ、記録的に空き家が増えているのに、大量の新築住宅が供給され続けるという状況は異常に見えるが、予想を超えて進む少子高齢化と、今後の人口減少社会を見据えたとき、さらに恐ろしく感じられる。

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