あっという間に人口1億人割れなのに… 日本に新たな「住宅」「高速道路」「新幹線」は必要なのか
国土の脆弱化につながるだけ
人口が減り、それ以上に社会の担い手が減る以上、現在にくらべて利用者が減少するのは避けられない。すでに整備されている道路や鉄道の利用者が減るなかで、さらに建設し続ければどうなるか。増え続ける空き家は放置して、新築マンションを建て続けるのと同じ結果が待っているはずである。
しかも、社会の担い手がピーク時の4分の1しかいないような社会で、膨大な道路網や鉄道網の維持管理費を、いったいだれに負担させるつもりなのだろうか。
日本は地震や津波、台風などの自然災害が多い。そこで国土交通省は、自然災害に強い国や地域をつくるとして「国土強靭化」を進めている。そこに高速道路や新幹線の整備まで含まれ、石破茂総理が掲げた「地方創生」を逆手にとり、「道路や新幹線が国土強靭化と地方創生のために欠かせない」と訴えている地方も多い。
だが、人口が減り、働き手が減り、ひいては税収が減るのが確実な将来に向けて、これ以上、道路や鉄道インフラを整備することは、将来の負担、いや、破綻につながるだけなのではないか。国土の強靭化どころか脆弱化につながるのではないか。人口減少に合わせて社会をコンパクトにつくり直してこそ、国土の強靭化につながるのではないだろうか。
すでに建設されているインフラは、維持するにしても、取り壊すにしても、膨大な費用を要する。人口急減社会、すなわち税収減社会において、それを背負っていくのは大変な困難をともなう。だから一刻も早く、社会をコンパクトにする方向に舵を切るしかない。もう新しいものは作らず、既存のものを使い、不要なものは整理する。
それこそが、人口が1億人を割る「大災害」への最大の備えになるはずである。
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