「兵庫県の問題を見過ごしたら日本がおかしくなる」YouTuberになった元テレビ朝日法務部長が「235日間ぶっ続けで」斎藤元彦知事を批判し続けるワケ
命が失われても、誹謗中傷に正面から向き合おうとしない
ネタ探しに使うのは、知事の定例会見や斎藤氏や兵庫県議、斎藤氏との「二馬力」選挙を宣言した立花孝志氏などのSNSやYouTube、兵庫県ホームページでの公式発表などだ。これらオープンソースの情報を定点観測し、気づいた問題点をチャンネルで取り上げる。
「知事会見だけ見ていても、斎藤氏の不誠実さが際立ちます。兵庫県ではもう1年以上、斎藤知事問題をめぐり誹謗中傷や私的情報の拡散という異様な事態が続いているのですが、記者がこれらを止める具体的なメッセージを出すよう求めても、斎藤氏は『SNSでの誹謗中傷は良くない』といった一般論しか言わない。立花孝志氏が元県民局長の私的情報を公開していると記者に指摘されても、『どういった発信をされているか承知していません』と見ざる聞かざるでやり過ごし続け、時間だけが過ぎている」
毎朝4時に起床。3時間半かけて取り上げるネタを選定し、喋る内容を手製のフリップにまとめ、カメラをセットする。配信は7時半から約30分間。終わると束の間の仮眠を取って本業の時間だ。弁護士業やテレビコメンテーターの仕事を夕方までこなし、翌日に備えて午後8時半には就寝する。気づけば235日間、休みなしで斎藤県政の問題を取り上げ続けてきた。
なぜ毎日欠かさずやる必要があるのか。
「始めた当初は土日休みでしたが、一度週末に配信してみたら普段より多くの方に見ていただき、いつしか休むのが怖くなっていて…」
少しずつ再生数が増え手応えを感じている一方で、自らが「分断の狭間」にハマってしまったのではないかという不安に時折襲われるという。
「以前は社会に最低限のコンセンサスがあったように思いますが、SNSが普及して以降、分断は深まるばかりで、意見が対立した相手側の声に耳を傾けることが難しくなっています。斎藤知事支持派とされる人たちに私の声が届いて何かを気付いてもらえているのか。『逆に分断を拡げているのかも』といった不安は尽きません」
大事にしているのは「法律家」という原点
だが、誰かがやらなければならないという「使命感」に奮い立つ。
「もともと私はアナウンサーとしてテレ朝に入局し、12年あまり活動したのち、法務部に異動して10年間以上裏方として働いていました。安定したサラリーマン生活を捨てて独立したのは、表現者に戻って人生を終わりたいという思いがあったからです。斎藤氏の追及を始めてから自分が今ここにいる意味について考えています。新聞やテレビも斎藤氏の問題点を折に触れて報じますが、次から次へと新しいニュースを追わなければならないので掘り下げきれない。一方、私は小さいカメラ1台でひとり配信しているので日々の斎藤知事の動静も逐一発信できる」
アンチからの攻撃も受けて感情的になることもあるが、常に大事にしているのが自分の原点である「法律家」という立場だ。
「感情的な言葉ではなく、ファクトや法律に基づいて批判するよう心がけています。公選法や地方自治法の分厚い本も買い揃えました。いつまで続けるのか自分にもわかりませんが、少なくとも斎藤知事が公益通報者対応の誤りなどの指摘を受け入れない限りは続けます。私は家族もいない独り者。個人攻撃されても止めるつもりはありません。弁護士は基本的人権を擁護し、社会正義を実現することが使命です。その本分に則り、これからも斎藤県政をチェックし続けるつもりです」
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