「あの方も宇宙人だったのでしょうね」…電撃ネットワーク「南部虎弾」、「坂本冬美」が賛辞を惜しまない「ロックのカリスマ」強烈な魅力

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 夕刊紙・日刊ゲンダイで数多くのインタビュー記事を執筆・担当し、現在も同紙で記事を手がけているコラムニストの峯田淳さん。これまでの取材データから、俳優、歌手、タレント、芸人……第一線で活躍する有名人たちの“心の支え”になっている言葉、運命を変えた人との出会いを振り返る「人生を変えた『あの人』のひと言」。第30回は忌野清志郎さん。直接インタビューする機会はなかったそうですが、意外なエピソードと取材つながりで見えてくる、ロックのカリスマの意外な素顔とは?

ナゾのCD-R

 日本ロック界のカリスマ、忌野清志郎が58歳の若さで亡くなったのは2009年5月2日だった。

 訃報のすぐ後、筆者は2週間ほど車でドイツを回ることになっていたのだが、ドライブ中に聴こうと、清志郎のCDを持って出かけた。この時期のドイツは菜の花の季節。アウトバーンの両脇は一面、黄色に染まっていた。

 車をぶっ飛ばしながら聴いた「い・け・な・い・ルージュマジック」「デイ・ドリーム・ビリーバー」「パパの歌」がそんなファンタジックな世界とマッチして、とても心地よかった。清志郎の曲は激しさの中に、夢を感じさせるものがある。

 直接インタビューはしたことはないのだが、「忌野清志郎」のことがずっと引っかかっていた。その理由は、ある時もたらされた「清志郎のものだ」という、2枚のCD-R。当時は「まさか! 本当に清志郎?」という思いもあった。ただ、聴いてみると確かに、清志郎に似ている……ウラを取るべく音楽関係者に訊いて回ったら、清志郎かどうかの判断は尻込みされてしまった。

 1枚は69年から放送された文化放送「ハローパーティー」の放送音源。これに結成1年ほどだという、清志郎率いるRCサクセションが出演し、2ndシングル「涙でいっぱい」(70年)のカップリング曲である「イエスタディをうたって」と、アルバム「初期のRCサクセション」(72年)に入っている「金もうけのために生れたんじゃないぜ」の2曲と、「傘をさしてゆこうよ」(表記不明)を歌っている。「傘をさして」はRCのシングルリストなどには見当たらない。

 もう1枚は「アルバム」(と言っている)を録音した時のものではないかと思われる。

 参加メンバーは清志郎と同級生の小林和生(のちの林小和生)、桶田賢一(のちの破廉ケンチ)ら(と紹介している)。66年に結成したバンド「The Clover」の仲間たちによるものらしい。録音したのは7曲。RCのデビューシングル「宝くじは買わない」(70年)のカップリング曲「どろだらけの海」、2ndシングル「涙でいっぱい」、「初期のRCサクセション」に入っている「2時間35分」。あとの4曲は、セリフの後に「冷たい風は僕を慰め~」(タイトル不明)で始まる曲、猫と少年の曲、「やせこけた女」と「もう戦わなくてもいい」……。

 筆者が知らないだけかもしれないが、これらはシングルのリスト、アルバムの収録曲に見つけることができなかった。これらの曲のことが何らかの形で報じられたかもわからない。

 後者はオリジナルとして「for Chiyoko」とある。清志郎の恋人か? この2枚のCD-Rは清志郎やRCのものではなく、だれかが勝手に作ったもの、コピーしただけのものなのかもしれない……が、未発表音源かどうかも含めて真贋は不明だ。

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