参院選大敗で自民党が「民主党化」する? 「石破退陣」の混乱で近付く自民が“与党の資格”を失う日
自民党内で「石破退陣」の声がやまない。参院選での大敗を受け、党の保守系議員グループからは“敗北を真正面から受け止めるべき”と、辞任を申し入れる要請書が提出される事態になっている。党内がまとまりを欠く一方、各社の世論調査では内閣支持率が上昇の兆しを示し、「#石破やめるな」デモも盛り上がりを見せている。自民党と世論とのギャップが引き起こす政治の混迷について、東京大学先端科学技術研究センター教授で政治学者の牧原出氏に聞いた。
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【写真】菅元首相、岸田前首相…両院議員懇談会に出席した重鎮議員たち
今までの常識から見て、ここまで党が選挙で大敗したにもかかわらずそのトップである石破首相が辞任しないというのは異例なことです。やはり、自民党内を見てもこの石破首相の身の振り方には根強い批判が集まっています。
しかし、石破内閣の支持率を見るとこの数週間は上昇傾向を示している。必ずしも世論は石破退陣を願っているわけではないということが読み取れます。さらに自民党支持層に限ってみれば、半数以上が石破首相の退陣を望んでいないという調査も出ている。
この動向からは、“政権にどのような実績と失策があるか”“石破退陣後はどうなるか”と冷静に判断を下す「真っ当な人たち」が有権者に思ったよりも多くいることが分かります。
少数与党でありながら越年編成せずに予算を組むことができたことや、関税交渉において合意を達成したことなど、石破政権では目に見える一定の成果がありました。自民党支持者の中には、前回の総裁選の面子を見て“他に誰がこの実績を残せるのか”と考える人が一定以上います。仮に退陣したとして、多数与党であればすぐに組閣して政策を実行できるはずだが少数与党では座組に時間がかかりそうだ、というところまで考えている人も決して少なくない。
選挙結果だけを見たら世論も「石破おろし」一色になりそうですが、そうならないのは、政権の功罪を多角的にみることのできる「真っ当な人たち」が一定以上いるからだと思います。
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