広島駅に「まるでSF」な光景が… 路面電車に再脚光?令和の今だからこそのメリットとは
路面電車“復活”の都市も
また、過去に路面電車を廃止してしまった都市は全国に数多くあるが、それらの都市でも再び路面電車を走らせようという機運が強まっている。
このほど岐阜県と京都府がLRTの導入を検討すると発表した。岐阜では名古屋鉄道が路面電車を運行していたが2005年に全廃。岐阜の路面電車はマイカー依存の強い岐阜県において、道路を占用する邪魔な存在でしかなかった。そのため、路面電車の廃止には反対らしい反対も起きていない。
岐阜県は新たな路面電車の構想として県都・岐阜市の玄関駅でもある岐阜駅と新幹線が停車する岐阜羽島駅とを結ぶ路線や、岐阜県庁・岐阜大学へのアクセス路線を検討するという。2005年に廃止した路面電車とは違うルートを走ることになるが、これまで邪魔者として扱ってきた路面電車が復活する可能性が拓けてきたのだから、行政は路面電車の評価を大きく変えたということになる。
京都市は1978年に市電を全廃した。これも岐阜県と同様に自動車交通を優先した結果によるものだが、近年の京都市は観光客が増えて、本来の利用者である地元住民がバスに乗れないという問題が発生したことから新しい公共交通を模索する動きが出ていた。
バスは運転士不足という問題が深刻なため、簡単に増便できない。地元住民が利用できない問題を解決する策として、輸送力のあるLRTに白羽の矢が立てられた。
市電を全廃して約半世紀が経とうとしている京都市だが、実は現在も路面電車は運行されている。それが嵐山線・北野線の2路線を運行する京福電気鉄道だ。嵐山線・北野線は沿線に観光地が点在するので観光客の利用も多い。
その一方、嵐山線・北野線の沿線は昔ながらの細い路地が多く残っている。そのため、バスなどの大型車両が通行できない。そうした事情から、京福が運行する路面電車は地元住民の貴重な足となっている。
冒頭で触れた広電の乗り場が駅ビル2階へと移設されたことは、鉄道ファンや地元住民のみならずとも「路面電車なのに、駅ビルの2階から発着している!」と見た目で路面電車の進化を感じ取ることができる変化といえる。
しかし、今起きている路面電車2.0ともいえる革命は、車両や停留所といったハード部分だけの話ではなく、信用乗車方式や貨物といったソフト部分の取り組みが大きく影響している。




