広島駅に「まるでSF」な光景が… 路面電車に再脚光?令和の今だからこそのメリットとは

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旧来にはない“支払い方法”

 富山市の奮闘は、時代遅れの公共交通と目されていた路面電車のイメージを覆すまでには至らなかったが、栃木県宇都宮市・芳賀町で2023年に新型路面電車が開業するとイメージは刷新されていく。宇都宮市・芳賀町に誕生した新型路面電車はLRT(Light Rail Transit)と呼ばれ、単なる新しい路面電車ではないとイメージの刷新を図った。

 LRTと旧来の路面電車の違いは多々あるが、その中でも特徴的なのが信用乗車方式と呼ばれる電車の乗り方・降り方だ。信用乗車方式は乗降の手間や時間を大幅に短縮することで停留所での停車時間を短縮。これが、のんびり走るという路面電車のイメージを大きく変えた。

 これまでの路面電車は「前乗り・後降り」「後乗り・前降り」といったように乗る扉と降りる扉が異なっていた。これはワンマン運転が当たり前になり、運転士が運賃収受という作業をこなさなければならなくなったことに起因している。

 他方、信用乗車方式はICカードで乗車・降車することを前提にしている。そのため、どの扉からでも乗降できるので、降車する乗客がひとつの扉に固まることがない。それがスムーズな乗降を実現し、停車時間の短縮につながっている。停車時間が短くなれば、所要時間は短縮する。マイカーで移動するより精神的なストレスが少なく、時間も正確で早いという評判につながった。

 信用乗車方式を導入しても1停留所で短縮できる時間は約1~2分とわずかでしかない。それでも、1分2分が積み重なることで5分10分の差になっていく。1分2分が貴重な朝のラッシュ時において、5分の短縮は大きいだろう。

 富山から少しずつ始まった路面電車再評価の流れは宇都宮を経て、そして今度は広島へと飛び火した。今後は全国を走る既存の路面電車をも刺激することになるだろう。

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