宇治、大洗、金沢、沼津…ファンなら誰もが知っている“共通点”とは? まんだらけ「川代浩志」経理本部長が語る“聖地巡礼”の魅力
「響け!ユーフォニアム」の聖地・宇治がおすすめ
――川代さんがこれまで訪れた聖地のなかで、おすすめはありますか。
川代:やはり、「響け!ユーフォニアム」の京都・宇治がおすすめです。見落としている背景もあると思うのでこれからも聖地巡礼する予定ですし、新作の映画も制作が決まったので、そちらにも期待しています。新しい聖地が生まれるかもしれませんからね。
宇治には「久美子ベンチ」や「宇治川水管橋」など、様々な聖地がありますが、ぜひ訪れていただきたいのは「大吉山」の展望台です。作品の重要なシーンにたびたび登場する、“聖地のなかの聖地”でしょう。黄前久美子と高坂麗奈の関係性を象徴する場所でもあり、2人が思いを共有し合う場面にも登場します。
展望台までは山道を歩いて上ります。夏場は上りがきついんですが、展望台から望む宇治の街並みは絶景です。何かのきっかけに宇治に行ったら、ついつい上っちゃうほど。これまで、ゆうに30回くらいは行っているかもしれません。
――30回も!
川代:「まんだらけ」には京都店があるのですが、開店が12時なので、朝の時間を有効に使えば聖地巡礼できるのです。私は聖地には夜行バスで行くのですが、それは朝から動き出せるからです。午前中、宇治の黄檗に行けば、加藤葉月ちゃんが好きなパン屋さん「中路ベーカリー」で焼きたてのパンを味わえますし、大吉山に上っても昼には店に着いてしまいます。
ちなみに、私は聖地には一人で行くことがほとんどです。というのも、1分1秒刻みで動いていますし、いつも旅程を詰め込みすぎてしまうため、他の人を付き合わせるのは申し訳ないんですよ。
聖地に移住する人が増えている
――「響け!ユーフォニアム」の宇治、「ラブライブ!サンシャイン!!」の静岡県沼津市などには移住する人も増えているそうです。
川代:石川県金沢市などが舞台の「花咲くいろは」の聖地になった温泉宿に泊まったとき、部屋に仲居さんとして入ってきた20歳そこそこの男の子と話をしました。「この宿がアニメの舞台になったのを知ってる?」と聞いたら、「アニメを見て就職したんです」と言われたのです。えーっ、とびっくりしました。
その後、おかみさんにも聞いたら「あの子はアニメがきっかけで入ったんですよ」と。実際、アニメが縁で仲居になった人が増えているそうで、他の宿にも、住み込みだったり、金沢に住居を構えて働いたりしている人がいるそうです。アニメのキャラの仕事を実体験として追い、職業としてもリスペクトしているのは凄いなあと思いました。
「響け!ユーフォニアム」の聖地になった宇治でも、作品が好きで移住して来たという喫茶店のスタッフを2人ほど知っています。また、同じく京アニの「たまこまーけっと」の聖地になった出町桝形商店街にも、作品をきっかけに現地の喫茶店に就職したという方がいました。
聖地に移住されたみなさんと話すとよくわかるのですが、聖地に住んで、自分自身の好きという気持ちを伝えたいのだと感じます。私が話しかけたら、倍以上の話が返ってきましたからね(笑)。作品も聖地も“好きすぎる”アニメファンが入り込むことで、町が盛り上がっていると感じました。こういった出会いは現地に行かないと体験できないことですし、聖地巡礼の最大の魅力だと思っています。
第1回【まんだらけが「京都アニメーション」だけのオークション 「経理本部長」が語る「アニメの歴史を物語る上で京アニの存在は欠かせません」】では、まんだらけの経理本部長・川代浩志氏が、なぜ京アニ限定のオークションを開催するに至ったのか、また、どんな商品が出品されるのかなどについて語っている。
[3/3ページ]

