まんだらけが「京都アニメーション」だけのオークション 「経理本部長」が語る「アニメの歴史を物語る上で京アニの存在は欠かせません」

国内 社会

  • ブックマーク

 日本を代表する漫画専門古書店にして、コレクターズショップの「まんだらけ」が、9月1日~7日にかけて大々的な「京都アニメーション(以下、京アニ)」作品の書籍やグッズを中心としたオークションを開催する。8月1日に発売されたオークションのカタログ「まんだらけZENBU 129号」には貴重な品物が紹介され、圧巻である。【取材・文=山内貴範】(全2回のうち第1回)

京都アニメーション作品のオークション開催

 近年、人気漫画が表紙を飾った漫画雑誌の価格が高騰しているが、アニメ雑誌も好きな作品が表紙を飾っている号は特別感があり、集めたくなるものだ。京アニ作品が表紙を飾った「アニメージュ」「Newtype」などのアニメ雑誌は並べているだけでも楽しめるコレクターズアイテムで、とりわけ、京都アニメーションを代表するアニメーターの一人、池田晶子氏が描いた涼宮ハルヒの絵は見事なものである。

 そのほかの注目商品は、全巻“初版”で“帯付き”で揃っている「涼宮ハルヒの憂鬱」「らき☆すた」などの単行本。さらに、京都アニメーションの自社レーベル「KAエスマ文庫」既刊40冊が、すべて初版、しかも帯付で揃っている。とくに、KAエスマ文庫の認知度がまだ高くない頃に刊行された文庫本は市場流通量が少なく、希少品という。

 ほかにも、京阪電鉄が販売した電車のヘッドマークや、アニメ作品のフィギュア、さらにはアニメーターが描いた貴重な原画など、入手困難なグッズも多数出品される。オークションに入札をしなくても、京アニグッズの図録のような感覚で楽しむことができる一冊になっている。

 さて、「まんだらけ」のオークションは、これまでは手塚治虫や藤子不二雄、永井豪など、どちらかといえば1990年代以前に活躍した作家を特集することが多かった。主に2000年以降に注目された作品が多い京都アニメーション作品を特集するのは異例と思われるが、ひとえに世界中に京アニのファンが多いことの表れといえるだろう。

 同社の経理本部長・川代浩志氏は、京アニ作品の熱狂的なファンとしても知られる。休日となればアニメの聖地巡礼を熱心に行っているという川代氏に、マニア目線から見た今回のオークションの注目商品について話を聞いた。

京アニ作品は世界中に熱狂的なファンがいる

――「まんだらけ」のオークションといえば、手塚治虫の「鉄腕アトム」など、昭和時代の作品が多く扱われるイメージです。最近は「キン肉マン」や「ドラゴンボール」など1980~90年代の作品も取り上げられていますが、それよりかなり新しい京アニ作品の特集を企画したのはなぜでしょうか。

川代:当社はこれまで、東映アニメーションや虫プロダクション、スタジオジブリなどのアニメスタジオのセル画や原画、グッズなどを多数販売してきました。京都アニメーションは虫プロダクションの流れを汲むスタジオで、1981年に創業しました。1985年に創業したスタジオジブリと同時期のスタジオといえます。

 熱心なアニメファンの間では昔から名前が知られていましたが、広く知られるようになったのは、アニメ制作の元請けを開始し、「涼宮ハルヒの憂鬱」などのヒット作が出た2000年代でしょう。その評価の高さはご存じのとおりで、アニメの歴史を物語る上で京アニの存在は欠かせないといえるため、当社のオークションで取り上げることにしました。

――歴史が新しくても、熱心なファンがいるということでしょうか。

川代:そうですね。熱心なファンがついていると思います。そして、当社が行っている買い取りなどで、ある程度の書籍やグッズの数が揃ったこともオークション開催のきっかけです。また、私が事あるごとに社内で京アニの魅力を語っていたのも、開催のきっかけにもなかったかもしれませんが(笑)。

次ページ:注目の商品は鉄道グッズ

前へ 1 2 次へ

[1/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。