2時間超え『鬼滅』『国宝』で気になるトイレ問題 夏イベントの「尿意コントロール術」を医師が伝授
夏休みには映画やライブ、旅行や帰省の計画を楽しみにしている人も多いだろう。そこで気になるのが「トイレ問題」。いま大ヒット中の劇場版『鬼滅の刃』最新作では2時間35分、映画『国宝』ではなんと2時間55分と、上映時間の長さも話題で、SNSではボンタンアメや大福がトイレ対策にいいなど、さまざまな噂や実体験がポストされている。特に夏場は、漏らしでもしたら薄着だしヒヤヒヤ、ニオイや蒸れも気になる……。せっかくの夏のイベントを、思う存分楽しむために専門家に尿意を遠ざける正しい対策を聞いた。(前後編の後編)
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まずは排尿の実力を知るべし
「普通の生活をしていると、人間は1日にだいたい1,500cc程度の尿を作るといわれています。10代のうちは膀胱が大きく、1回に300~400ccは溜められるといいます。ですから日に4~5回トイレに行けば足りるのですが、年齢とともに膀胱は小さくなっていき、溜められる量も少なくなっていきます」
そう話すのは、日本大学医学部教授で泌尿器科専門の高橋悟先生。
「膀胱の大きさには個人差があるので、まずは自分の膀胱の実力を知ることが大事。そのためには“排尿日誌”をつけることをおすすめしています」
日誌には、1回の排尿量と排尿との間隔を記録する。
「宴会などのある日ではなく、ごく平均的な日に3日間つければOK。100均の計量カップや、上部をカットした空のペットボトルにざっくり50ccずつメモリを書いたものを利用して記録していきます。すると1回の排尿量と、だいたい次のトイレまで3時間はもつんだなとか、1時間半に1回行くんだなという膀胱の実力がわかるようになります。そしたら、自分の予定に合わせてトイレに行くタイミングを調整できるようになります」
男女とも加齢とともに膀胱は小さくなるというが、女性は構造的に男性に比べて尿道が短いため、溜められないだけでなく尿漏れも起こしやすくなる。
「特に出産経験のある人は骨盤底筋がゆるみ、尿道の締まりが弱くなるため咳やクシャミでも尿漏れしやすくなります。さらに年齢が上がると、“過活動膀胱”といって、たいして尿がたまっていないのに漏れそうになる尿切迫感が起きるようになり、日に何度もトイレに駆け込むようになります。場合によってはトイレまで間に合わずに漏らしてしまうことも。1日に8回以上トイレに行くことを“頻尿”といい、さらに夜1、2回トイレに起きることを“夜間頻尿”といいます」
過活動膀胱は、女性では30~40代から多くなり、経産婦なら20代でも尿漏れを起こす。原因は異なるが、男性も同じように過活動膀胱を発症し、頻尿になる。
「男性は50~60代以上になると、前立腺肥大症で尿道が圧迫され、尿が出にくくなります。常に残尿があるのでトイレが近くなって頻尿になるうえに、膀胱は尿が出にくい状態なので、がんばって尿を出そうとして過活動膀胱を発症します」
これらの排尿トラブルがある場合は病院を受診するべきなのだろうか。
「過活動膀胱でトイレが近いとか、尿漏れがある、軽い前立腺肥大症などは、早期発見や早期治療の病気ではないので、セルフマネジメントで概ね改善することができます。日常生活に支障が出て困るほどだったり、トイレが近いことに加えて、血尿が出たとか、熱がある、排尿痛があるなどの場合はなんらかの病気の可能性もあるので受診をおすすめします」
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